オーケストラに色彩が感じられなかったが、ネマニャのヴァイオリンは色彩的だった!
2025年1月16日、サントリーホールで、読売日本交響楽団の名曲シリーズを聴いた。指揮は小林資典、ヴァイオリンはネマニャ・ラドゥロヴィチ。
もちろん、私の目当てはネマニャ。確か、初めて聴いたのは2009年のナントでのラ・フォル・ジュルネだった。魂が震えるほどの感動を覚えて大ファンになった。それ以来、来日ごとに聴き続けている。
が、その前にモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」が演奏された。小林資典の演奏を聴くのは初めてだと思う。海外で活躍しているという。大きな身振りでリズムをとってオーケストラをコントロールするのはいいのだが、なんだか音楽に表情がない。曲想が変わり、リズムや音量は変化するが、肝心の音楽の表情に変わりがない。一本調子の感じがする。後半のドビュッシー「海」に至ってはまったく色彩感がない。この曲こそ色彩感が命だろうに。まるで墨絵のような音楽。せっかく読響メンバーが華麗な音を重ねているのに、色彩が感じられない。これほど色彩感のないフランス音楽を私は初めて聴いた。退屈で仕方がなかった。
それに引き換え、ネマニャはとても色彩的。ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」(クライスラー編曲)、モンティ「チャルダーシュ」、マスネ「タイスの瞑想曲」。オーケストラが無彩色でもヴァイオリンが色にあふれている。ただ、ネマニャが無理やり色彩感を出そうとしたのか、あるいはオーケストラメンバーが色彩不足を感じて、それを補おうとしたのか、クラシック音楽にあるまじき極彩色になりがちなところが気になった。それまで色のないあまりに地味な音楽だったところ、突然、色物が出てきた感じになってしまった。
ただ、ネマニャの音色はあいかわらず素晴らしい。素晴らしいというか、凄まじい。細身のシャープで清澄。そして、「タイスの瞑想曲」では極めて官能的。
ラヴェルの「ツィガーヌ」は圧倒的だった。これは正真正銘素晴らしい! 華麗で諧謔にあふれ爽快。圧倒的な技巧を見せつけながら、音楽が躍動し、生命にあふれている。
それにしても、この曲目の統一のなさはどうしたことだろう。ただ演奏してみたい曲を並べた・・・という感じ。コンサートというのは何かしらのメッセージがあるものだと思うのだが、この曲目にメッセージを読み取ることができなかった。
もう一つ、ネマニャについての不満は、今日の演目のほんとどをたぶん私はネマニャの演奏でこれまで何度も聴いていること。彼の力量であれば、ほかにたくさんのレパートリーがあるはず。それらの曲を聴かせてほしいものだ。
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