新国立劇場「さまよえるオランダ人」 河野鉄平、素晴らしかった!
2025年1月22日、新国立劇場で、ワーグナー作曲「さまよえるオランダ人」をみた。指揮はマルク・アルブレヒト、演出はマティアス・フォン・シュテークマン。
19日に続いて、今日も、オランダ人役のエフゲニー・ニキティンが体調不良のために降板し、代役は河野鉄平との連絡が届いた。私は何度かニキティンの実演を見て、その実力のほどを知っているのでとても残念に思って会場に到着。実は私は先週の金曜日(読響のコンサートの翌日)からインフルエンザで寝込んでおり(医師には診てもらっていないが、同居する孫二人が前日にインフルエンザの診断を下されたので、きっと私も間違いないだろう)、やっと全快し、インフルエンザだったとしても人にうつす恐れのない状態になって出かけたのだったが、ニキティンも同じような状態なのかもしれない。
とてもいい演奏だった。アルブレヒトの指揮は序曲からかなり激しく高揚。東京交響楽団はホルンが何度か変な音を出したが、それ以外はとてもきれいにうねって、なかなかいい。ドラマティックで、歌にぴったりついて見事な指揮ぶり。
歌手陣もそろっていた。まずは代役の河野鉄平を称えるべきだろう。外国人勢にまったく引けを取らない歌唱と演技。第二幕のゼンタ役のエリザベート・ストリッドとの二重唱は素晴らしかった。ニキティンに聴き比べると劣るかもしれないが、少なくともストリッドとは互角に歌っている! 音程もよく、声量も声の美しさも見事。感動した! ストリッド自身も、清澄な声で、しかも芯があって、とてもいい。
そのほか、ダーラントの松位浩も素晴らしい。柔らかい声で、ダーラントにしてはちょっと繊細過ぎる気がしないでもないが、こんなやさしい父親のダーラントもいいだろう。舵手の伊藤達人もよく通る声で、コミカルな演技もおもしろい。マリーの金子美香もしっかりとした声で安定している。エリックのジョナサン・ストートンはなかなかの美声で声量豊かなのだが、後半、かなり声が割れていたのが残念。三澤洋史の合唱指揮による新国立劇場合唱団は、いつもながらの素晴らしさだった。
シュテークマンの演出はかなり穏健。登場人物はみんな、このオペラで見慣れた通りの扮装で登場する。船の舵と第二幕で登場する糸車の共通性が強調される。なるほど! オランダ人は終わりのないぐるぐる回りの運命に呪われており、ゼンタがそれに終止符を打つわけだ。最後、ゼンタがオランダ船に乗って舵を持つのは、そのような意味なのだろう。そのようなテーマを明確に打ち出している。とても良い演出だと思った。
私は大いに感動した。第二幕の途中から涙が出てきた。ワーグナー作品の中では特に好きな作品ではないのだが、実際に上演をみると、やはり感動する。
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