札響東京公演 伊福部の曲に圧倒された!
2025年2月3日、サントリーホールで、札幌交響楽団東京公演2025を聴いた。指揮は広上淳一。
冒頭、86年から98年まで札響のミュージックアドバイザーを務めた秋山和慶さんを追悼して、モーツァルトのディベルティメントK136の第2楽章が演奏された。前もってアナウンスがあったため、拍手なし。心の中で合掌!
プログラムの曲目は、前半に武満徹の「乱」組曲とピアノの外山啓介が加わって、伊福部 昭「リトミカ・オスティナータ~ピアノとオーケストラのための」、後半にシベリウスの交響曲第2番。
黒澤明監督の「乱」は、封切当時劇場でもみたし、テレビ放映でもみたが、音楽に特に印象はなかった。そうか、武満の作曲だったかと思い出した。が、あまり武満らしくない。藤野峻介氏の曲目解説に、武満が黒沢監督に「マーラー風のものを」と要求されて困惑した話が書かれていたが、これは苦心の作だったのだろう。ただ、確かに悲痛な雰囲気は伝わる。
伊福部の曲は大変おもしろかった。タイトルを日本語に訳すと「執拗に反復する律動」。打楽器のようにたたきつけるピアノを中心に一定の音型が執拗に続き、強烈に盛り上がっていく。まるであらゆる生命体の舞踏が宇宙全体で繰り広げられているかのよう。こんな曲だとは思わなかったのであまり注視していなかったのだが、ピアノの外山啓介はもしかして暗譜だったのではないか? 単純な繰り返しが多いとはいえ、いやそうであるからこそ、これを暗譜で弾くのは至難の業だと思うのだが! オーケストラの機能性の高さも存分に示してくれた。見事! マエストロ広上の手腕に圧倒された。同時に、札響がこれほどのオーケストラに育っていることにも改めて驚いた。
シベリウスの交響曲第2番も、オーケストラはよく鳴り、さすがマエストロ広上、音の広がり、重なりといい、実に見事。ただ、音が外に大きく広がっていく面では実に素晴らしいのだが、内にこもっていかないところに、私は広上の指揮を聴くといつも不満を感じる。ないものねだりとわかっているのだが、もっと心の内に秘めた思い、激しく煩悶する音がほしいと思う。音そのものの威力には圧倒されるものの、私はそこに自分の魂の奥底を重ね合わせられない。
アンコールは「悲しきワルツ」。これも見事な演奏。ただ、私にしてみると、これもまたとても美しい音を作り出しているのだが、得も言われぬ小さな悲しみが伝わらない。
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