下野&三浦&N響 スッペとサン・サーンスとオッフェンバックを楽しんだ
2025年2月21日、NHK交響楽団第2033回 定期公演 Cプログラムを聴いた。指揮は下野竜也、曲目は前半にスッペの喜歌劇「軽騎兵」序曲とヴァイオリンの三浦文彰が加わってサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、後半にスッペの喜歌劇「詩人と農夫」序曲とオッフェンバック(ロザンタール編)のバレエ音楽「パリの喜び」(抜粋)。
私は基本的に重苦しい系のドイツ音楽が好きなのだが、今回の曲目に選ばれたスッペとサン・サーンスとオッフェンバックはかなり好きな作曲家だ。とりわけ、サン・サーンスとオッフェンバックは大好き! 下野さんが振るとなると、これはぜひとも聴きたいと思ったのだった。
「軽騎兵」序曲は久しぶりに聴いた。小学生のころにレコードで好んで聴いた曲だったが、1970年代か80年代、チェリビダッケだったか誰だったかの指揮でものすごい名演奏のこの曲の実演を聴いた覚えがある(チェリビダッケじゃなかったかなあ…)。これはなかなかの名曲ではないか!と、そのとき思い知った。その時ほどの感動は覚えなかったが、見事な演奏。下野の楽器のコントロールが実にうまい。N響もさすが。
サン・サーンスの演奏は、私は少し不満に思った。もちろん悪くない。しっかりしたオケ、そして凛とした美音のヴァイオリン。ただ、この曲は、もう少し派手なヴァイオリンを求めているような気がした。三浦のヴァイオリンは抑制しすぎてはいないか。私は抑制したリリシズムというのは大好きなのだが、この曲は抑制しなくていい個所がたくさんあるのではないか。
第2楽章は、本来、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章などとともに音楽史上まれにみる天国的で繊細な美しいメロディだと思うのだが、すんなりと過ぎ去ってしまった。第3楽章も、もっと大きな身振りの音楽の方がふさわしいと思ったのだったが、おとなしめに終わった。誠実で美しい演奏だったが、私の好きなサン・サーンスではなかった。ちなみに、私の好きなサン・サーンスは、ドイツ的ながっしりした構成の中に豪華絢爛にして不思議な色気と人を食ったようなユーモアとシニカルな孤独癖を聴かせてくれる作曲家だ。それがあまり感じられなかった。
後半の「詩人と農夫」は、素晴らしい演奏だった。「軽騎兵」もよかったが、それにもましてオーケストラがよく鳴り、びしりと線がそろい、しかも盛り上がりも素晴らしかった。
「パリの喜び」もとてもよい演奏だった。なじみのオッフェンバックのメロディが次々と出てくる。カンカン踊りの曲ももちろん楽しい。ただ、やはりバレエ音楽だなあ…と改めて思った。踊るための音楽なので、バレエ、いやそもそも舞踏そのものにあまり関心のない私としては、どうも音楽本来の持つメリハリではないような気がする。あえて言葉を選ばずにいうと、「たるんでいる」というか「ぼやけている」というか、そんな感じがする(ちなみに、私は「白鳥の湖」もそんな感じがしてなじめずにいる)。オッフェンバックのこの上なく楽しい音楽を聴いて躁状態の愉悦に浸りたいと思っていたのだったが、それほどではなかった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)

コメント