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オペラ映像「アッティラ」「ポントの王ミトリダーテ」

 また風邪をひいてしまった。孫がしょっちゅう保育園から風邪をもらって帰って来て、それがどうやら私にうつるようだ。が、今回は軽い咳とちょっとした熱で終わりそう。明日には全快するだろうと思っている。オペラ映像を数本みたので感想を記す。

ヴェルディ 「アッティラ」 2016年 ボローニャ市立劇場

 ネットで見つけてBDを購入。とてもいい上演だった。

 やはり、アッティラを歌うイルデブランド・ダルカンジェロが圧倒的。私はこの人の実演をザルツブルクでも、ウィーン国立歌劇場やロイヤルオペラの来日公演でも何度か見ているが、そのたびにその凄味に驚いてきた。このアッティラはその中でも飛び切り凄まじい。豪胆にして人間的な味を出し、その声は他を圧倒する。演技も見事。

 オダベッラを歌うマリア・ホセ・シーリも真摯で清純な声がとてもいい。エツィオのシモーネ・ピアッツォーラも堂々たる歌。フォレストのファビオ・サルトーリは容姿が二枚目でないのが残念だが、伸びのある輝かしい声で不満はない。

 指揮はミケーレ・マリオッティ。全力での指揮ぶりで実にドラマティックで躍動感にあふれている。ずっと同じテンションなのでちょっと一本調子の感があるが、2時間かからない短いオペラなので、それはそれで緊迫感にあふれた魅力を作り出している。演出はダニエレ・アバド。クラウディオの息子さんだけあって、音楽を邪魔しない演出といえるだろう。古代ローマ帝国とフン族の争いを描くオペラだが、人々は現代の服装で登場する。中東地域の紛争を思わせる。リアリティがあってとてもいい。

 モーツァルト 「ポントの王ミトリダーテ」 2022年12月 ベルリン国立歌劇場

 モーツァルトが14歳で作曲したオペラ。CDで聴いたことはあったが、映像は初めてみた。今更ながら、これが14歳の少年の作とは!! この年齢で、おそらく当時の一流の作曲家たち(サリエリ、チマローザ、パイジェッロ、ミハエル・ハイドンなど)と肩を並べる技量をもっていただろうことがよくわかる。ただコンサート形式のアリアが並列的に並んでいるだけのような雰囲気で、オペラとしての盛り上がりに欠ける。台本のせいもあるかもしれない。

 演奏は素晴らしい。マルク・ミンコフスキの指揮するルーヴル宮音楽隊の活気あるオーケストラに乗って、すべての歌手が見事に歌う。中でもやはりミトリダーテ役のペネ・パティが素晴らしい。和らない声だが、英雄的な強い声もとてもいい。自在な歌いまわし。アスパージアのアナ・マリア・ラビン、シーファレのアンジェラ・ブラウアー、ファルナーチェのカウンターテナー、ポール・アントワーヌ・ベノス=ジアン、イズメーネのサラ・アリスティドゥ、いずれも最高の歌。

 演出は宮城聰、そのほか、舞台は木津潤平、美術は深沢襟、衣裳は高橋佳代、振付は太田垣悠というように日本人が舞台を支えている。それはそれでとても良い演出なのだが、正直言って、「ここまで日本的にやらなくてもいいのでは!」という思いを抱いてしまう。武将たちは日本の戦国時代の兜や鎧を思わせる。キモノを着た女性も登場。背景に富士山らしい山やら日本画を思わせるような竹の絵など。ミトリダーテというのは、小アジアの国ポントスのミトリダテス6世のことだというから、「アジア」という点を強調したいのかもしれないが、これほど日本的にしてしまうと、普遍性をなくすような気がする。日本的な手法を応用して、もう少し小アジア的にした方が説得力を持つの思うのだが。日本人の演出陣が日本を強調する演出をすると、私としては気恥ずかしくなる。

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