ピノック&紀尾井室内管弦楽団 アグレッシブで推進力のある演奏!
2025年3月23日、東京文化会館小ホールで、東京春音楽祭、トレヴァー・ピノックの指揮、チェンバロによる紀尾井ホール室内管弦楽団の演奏を聴いた。曲目は、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番と、同じくバッハ作曲、ユゼフ・コフレル編曲によるゴルトベルク変奏曲(室内管弦楽版/ステュアート・ガーデン校訂)を聴いた。このヴァージョンは全曲版日本初演とのこと。
素晴らしい演奏だった。ブランデンブルク協奏曲第3番については、勢いのある、かなりアグレッシブな演奏。ピノックの個性なのだろう、78歳だというが、少しも丸くなっていない。第3楽章は特に圧巻。音と音が響きあい、闘いあい、くんずほぐれつ、しかも流動し、高揚していく。そして、崇高なものが浮かび上がってくる。紀尾井ホール室内管弦楽団はほとんどが女性メンバーだったが、まったく力感に欠けることなく演奏。私は大いに感動した!
ゴルドベルク変奏曲については、まずは編曲の巧みさに驚嘆した。あまりに色彩的で、バッハらしからぬところも多々あったが、様々な楽器を用いてオーケストラによる繊細でしなやかなゴルドベルク変奏曲が聞こえてくるのには驚くしかない。とりわけ、私のような、鍵盤楽器を苦手とする人間には、このような編曲はとても楽しめる。
ピノックの指揮する紀尾井ホール室内管弦楽団の演奏は、しなやかさは失わないものの、やはり勢いがあり、硬質でアグレッシブ。「攻撃的」と訳すほどではないが、少なくとも、おっとりとして優雅な演奏ではない。推進力があり、きびきびしている。弦の美しさもさることながら、木管楽器の美しさ、その躍動感にも感銘を受けた。メンバーがそれぞれ自分の役割を完璧に理解して、そこにふさわしい音を出し、全体を作り出しているのがとてもよくわかる。ピノックの指揮は、かなり推進力があるものの、かなりメンバーの自主性を重んじているようだ。
紀尾井ホール室内管弦楽団はとても小回りの利くオーケストラだと思った。繊細で、しかも指揮者の指示に即座に答える。ピノックの手の動きが音にしっかりと現れるのが感じられる。しかも、その動きが、先ほど述べた通り、まったく機械的ではなく、自主的に音楽を作っているのが感じられる。音の一つ一つが生きている。小さなオーケストラだからこその長所だろう。
近いうち、ピノック指揮の紀尾井ホール室内管弦楽団によって、バッハの管弦楽曲(もちろん、協奏曲を含めて)を全曲演奏してほしいものだ。
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