東京春音楽祭シュトラウスの室内楽 ピアノ四重奏曲 若々しく甘美で華麗な世界
2025年3月15日、旧東京音楽学校奏楽堂で、東京・春・音楽祭「R.シュトラウスの室内楽」を聴いた。出演は、水谷晃(ヴァイオリン)、店村眞積(ヴィオラ)、加藤陽子(チェロ)、加藤洋之(ピアノ)。曲目は前半に、シュトラウスのチェロ・ソナタ へ長調とヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調、後半にピアノ四重奏曲ハ短調。いずれもシュトラウスの初期の作品。
シュトラウスは、オペラや交響詩だけでなく、室内楽作品にも良いものがたくさんある。私は中学生のころからのシュトラウス好きなので、今回、東京春音楽祭で初期の室内楽作品が取り上げられるので、期待して出かけた。
加藤陽子のチェロはのびのびしてとてもよかった。若さを強調しての演奏だろう。ただ、ずっと同じようにのびのび弾いているので、私はちょっと変化が欲しくなった。それに、ちょっと音の線が弱く、ピアノに押され気味で大きく広がらなかった。せっかくのびのび弾いているのだから、もっと大きな音で強く押し出してもよかろうと思った。そのほうが気負いを含めて若さが爆発するこの曲の良さが出ると思う。
水谷のヴァイオリンについては、音が美しく、技巧的に見事で、華やかさは申し分ない。だが、確信を持たないまま弾いているのをときどき感じた。しかも、音楽がなだらかに連続せずにブツ切れになっているように聞こえた。もっと流動的であってほしかった。ピアノの加藤洋之もそのような傾向をカバーできずにいるように感じた。なんだか、おそるおそる弾いているというか、十分に消化しないままに弾いているというか。
後半の四重奏は素晴らしかった。もしかしたら、この曲に照準を合わせてリハーサルをしていたのかもしれない。4人の息がぴたりと合って、若々しくも甘美で華麗で流麗な音楽を作り出した。前半に感じられたような自信なげなところはなく、確信に満ちた演奏だと思った。一つ一つの音が表情を持ち、勢いを持っている。若々しく気負いに満ち、しかも「ばらの騎士」などで見せるような官能性も聞こえてくる、まさにシュトラウスの若い才能が爆発した。前半の2曲に比べて演奏される機会が少ないが、なかなかの佳作だと改めて思った。
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