ヴァンスカ&東響 プロコフィエフの5番で躁状態になった
2025年3月29日、サントリーホールで東京交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮は
オスモ・ヴァンスカ。曲目は、前半にニールセンの序曲「ヘリオス」とイノン・バルナタンのピアノ独奏でベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、後半にプロコフィエフの交響曲第5番。
ヴァンスカは思い入れの少ない、かなり即物的な音楽を作り出す指揮者だと思う。骨太で構築性がしっかりしており、全体が強い低弦によって支えられている。そうして作り出される音楽は、かなりの爆音でありながらも、透明で高貴で明晰。そうすると、音そのものは即物的にもかかわらず、男性的な叙情が入り込み、過度にならない歌心が入り込む・・・私はそんな印象を持っている。今回もそのようなヴァンスカの音楽が聞こえてきた。東響も見事。濁りのない強烈な音を聞かせてくれた。
ニールセンの「ヘリオス」については、私はほとんど知らない曲なので、何とも言えないが、なかなかおもしろい曲だと思った。ヴァンスカらしい抒情が聞こえてきた。
ベートーヴェンの協奏曲は、ソリストのバルナタンの持ち味なのかもしれない。高貴で精妙。ハ短調を強調するような悲劇性はあまりなく、むしろ第2楽章の叙情を強調するような演奏。ヴァンスカのほうが大きな音でバリバリ演奏する傾向はあるが、根っこのところでこの二人の音楽性はよく似ていると思った。ちょっとこじんまりしているが、とてもよい演奏だった。
ピアノのアンコールはベートーヴェンのピアノソナタ第6番第3楽章とのこと。チャーミング、というべき演奏。ベートーヴェンらしい強い表現とユーモラスな面を強調しているようだ。
後半のプロコフィエフは素晴らしかった。まさにプロコフィエフの音楽性が爆発。自由自在に縦横無尽に天衣無縫に多彩な音が転がり、重なり、広がり、発展し、爆発していく。第2楽章はほんとうにうきうきわくわく。第3楽章はもっと悲劇的な方が効果的だと思ったのだが、意外とそっけなかった。第4楽章は、まさにプロコフィエフの御しがたいまでのとてつもない才能が飛躍する。ワクワクを通り越して、私は躁状態になった。
とても満足。
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