ロッシーニの歌を堪能 山下裕賀の声に圧倒された
2025年4月6日、浜離宮朝日ホールで、「浜離宮ベルカント・シリーズ第2弾 山下裕賀&小堀勇介&池内響 with 矢野雄太」を聴いた。
出演は山下裕賀(メゾ・ソプラノ)、小堀勇介(テノール)、池内響(バリトン)、矢野雄太(ピアノ)。曲目は、前半にロッシーニの「セビーリャの理髪師」、後半に「ラ・チェネレントラ」からアリア、二重唱、三重唱。
三人とも表現力のある輝かしい声ながら、前半は、池内響が最も安定しており、山下裕賀が時にほんの少し声のコントロールが甘くなり、小堀勇介はときどき音程が甘くなった。しかも、三人とも大きな声を出すことに力を注いでいる感じで、弱音の効果を忘れているのではないかと思った。が、徐々に調子が上がって、後半は本当に素晴らしかった。前半、2階席からさかんにブラボーが飛んで、やや仲間内、あるいは贔屓筋の無理やりの大喝采のような気がしたが、後半は文句なしの大喝采。私も夢中になって大拍手をした。ピアノの矢野も好演。ロッシーニらしい躍動感があり、楽しさがあって、とてもいい。日本人でこれだけのロッシーニを歌える人が現れたことに改めて驚嘆。
池内は、安定した美声ですでに大物の風格がある。声の威力もさることながら、余裕があり、したがって、笑いの要素がある。小堀は、後半、ぴしゃりと音程が決まるようになり、高音の威力が増して、まさにロッシーニの躍動を聴くことができた。ラミーロのアリアはまさに絶品!感動した。山下は、まるでバルトーリを思い出すような躍動感のある声で自在に歌う。チェネレントラの幕切れの歌はまさに圧巻。とんでもない歌手だ!
私は、山下裕賀の歌う「サロメ」の小姓をきいていたく感心した記憶がある。第九のメゾ・ソプラノも傑出していた。だが、今日聴くまで、これほどまでに傑出した歌手だとは知らなかった。おそれいった!
ロッシーニは楽しい。日本でもこれだけの歌を聴けるようになったのはうれしい。
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