シューマン・クヮルテット まるでドラマのようなベートーヴェンの1・7・16番!
2025年6月11日、サントリーホール ブルーローズでシューマン・クヮルテットのベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏の初日を聴いた。シューマン・クヮルテットは、ローベルト・シューマンの名前を取ったのだとばかり思っていたら、この名称は、第1、第2ヴァイオリンとチェロを担当しているシューマン3兄弟の名前に基づく。そして、この3兄弟、母上は日本人だとのこと。
曲目は、前半に第1番と第7番(ラズモフスキー第1番)、後半に第16番。素晴らしかった。
ちょっと味付けが濃いかもしれない。メリハリを明確にし、フレーズとフレーズの楽想の違いを鮮明にする。そして、しばしば大きく盛り上げ、ときに静かに、そして小さく音楽を作る。アンサンブルは完璧。音色もそろっている。そうやって音楽にドラマを作っていく。あざといといえばあざとい。しかし、第1ヴァイオリンの研ぎ澄まされていながらもヒステリックなところがなく、温かみがにじみ出る音、第2ヴァイオリンの知的な支え、そして、チェロのくっきりとして深みと温かみのある音、ヴィオラの歌心のある音によって、あざとさを感じない。説得力のある音楽として展開されていく。
とりわけ、第1番の第2楽章の構築は見事だと思った。一つの物語を作ったといえるだろう。波乱万丈のドラマというべきか。サスペンスにあふれ、盛り上がっていき、大団円を迎える。それが音色のあった弦楽器で展開されていく。
第7番もスケールが大きく、4つの楽章を通じてドラマが盛り上がっていく演奏。最後には、大きな喜びにあふれる。一つ一つの楽章の展開に説得力があり、まるでドラマをみている感じがして飽きることがない。
第16番はことのほか素晴らしかった。この曲はまさにベートーヴェンの最後の境地だと思う。交響曲第9番の第4楽章のあの「喜びの歌」と同じような、他愛のない単純な旋律が高らかに歌われる。まさに最後にたどり着いた澄み切った単純な世界! それをこの4人は力を合わせて達成していく。そのさまが手に取るようにわかる。
第1ヴァイオリンのエリック・シューマンがきれいな日本語で紹介があって、アンコールはベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番の第3楽章。これも弾けるようで躍動感にあふれてすばらしかった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)

コメント