神奈川フィルの「ラインの黄金」 驚異的な演奏!
2025年6月21日、横浜みなとみらいホールで神奈川フィルハーモニー管弦楽団による「ラインの黄金」(コンサート形式)を聴いた。
ただ、実は会場に向かっているとき、電車の中で、息子さんからの電話で50年来の友人が急逝したことを知った。私よりも年上の女性で、著名な方の奥様でもあったので30歳を過ぎてからは一緒に遊ぶといったことはなかった(あ、もちろん、遊ぶといっても仲間たちと一緒に遊ぶのであって、二人きりではありません。誤解なきよう!)が、このところ、ともに配偶者をなくしたということもあって、ときどき電話で話をし、メールのやり取りをしていた。大好きな人だった! 合掌!
そんなわけで、会場についてからも、しばらくは大きな衝撃と悲しみのために音楽を聴くどころではなかったことを告白しておく。このような個人的な事情がなかったら、きっと私は心の底から感動し、興奮していただろうと思う。
素晴らしい演奏だった。驚異的な演奏と言っていいかもしれない。神奈川フィルの実力に驚いた。音楽監督の沼尻竜典の求める音をしっかり出して、会場全体をワーグナーの世界に作り上げていた。弦も美しいし、管楽器も見事に鳴っている! ワーグナーらしいうねりがあり、強靭で豊饒な響きがある。マエストロの功績も大きいだろう。凄いワーグナー指揮者だと改めて思った。
歌手陣もそろっていた。九嶋香奈枝(ヴォークリンデ) 秋本悠希(ヴェルグンデ) 藤井麻美(フロースヒルデ)の3人がまず見事な歌で観客をワーグナーの世界に引き入れた。アルベリヒの志村文彦はどす黒いこの役を見事に声にしていた。ヴォータンの青山貴は高貴な声でこの役にふさわしい。フリッカの谷口睦美は堂々たる歌。声のコントロールも声量も申し分なく、圧倒的に素晴らしかった。ドンナーの黒田祐貴も高貴な声、フローのチャールズ・キムも強い美声、巨人族の二人、妻屋秀和(ファーゾルト) 斉木健詞(ファフナー)も実に巨人らしく、ローゲの澤武紀行は、この変幻自在の不思議な役を見事に形象化している。ミーメの高橋淳は、まさにこの人にしかできないあくの強いミーメを披露してくれた。フライアの船越亜弥は清純な声、エルダの八木寿子は深々として声。全員が見事に役を歌っている。当たり前のことだが、これほどまでに全員がその役を歌いきっていることは珍しい。コンサート形式なのに、情景が完全に思い描かれる。それぞれの人物もくっきりと浮かび上がる。
この後、「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」と続いていくのだろうか。そうであってほしい。
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