METライブビューイング「セビリアの理髪師」
東銀座の東劇で、METライブビューイング「セビリアの理髪師」をみた。2025年5月31日上演のもの。若手を中心にしたキャスト。素晴らしかった。楽しかった。
指揮のジャコモ・サグリパンティもかなり若い。序曲からして、猛烈に煽るタイプの演奏。この序曲でこんなに燃焼するのか!と驚いた。その後はそれほど煽ることはなかったが、それにしても最後まで溌剌として熱い演奏。ロッシーニらしくてとてもいい。
演出はバートレット・シャー。ユーモアのセンスがあり、ニンマリするところがたくさんある。合唱を含む登場人物の動きがリズミカルで、しかも黙役のアンブロージョがパントマイムで大活躍する(きっと名のある俳優さんなのだろう)。その存在感もすごい。
歌手陣は最高度に充実している。やはり圧倒的なのは、フィガロを歌うアンドレイ・ジリカウスキだ。「私は町の何でも屋」は言葉をなくす凄さ! すべての音を正確に出して、音程もよく溌剌とし、声も美しい。演技もまさにフィガロそのもの。
アルマヴィーヴァ伯爵のジャック・スワンソンは20代に見える。貴公子然とした容姿で、第1幕ではハラハラするような出来だった(アジリータがうまくいかず、いくつもの音がきちんと出なかったようだ)だったが、第2幕最後のアリアは素晴らしかった。この容姿だと、これから大人気になってあちこちのオペラハウスで引っ張りだこになるだろう。
ロジーナのアイグル・アクメトチナもかなり若いメゾ・ソプラノ。ちょっとドスの効いた声で、かなり強気のロジーナを見事に歌う。歌の技巧も見事で、この人もきっち引っ張りだこになるだろう。
バルトロのピーター・カルマンはベテラのようだが、とてもうまい。声の技巧もさることながら、芸達者なので、実におかしみを醸し出し、敵役ながら愛嬌がある。バジリオのアレクサンダー・ヴィノグラドフ(調べてみたら、新国立劇場で「フィガロの結婚」のタイトルロールを歌ったことがあるらしいし、近年、大活躍しているようだ)も深い声でこの不思議な人物を歌う。
メトロポリタンはほんとうにレベルが高い! そして、ロッシーニはほんとうに楽しい!
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