アントネッロのバッハ・カンタータ 躍動感あふれる信仰心!
2025年7月11日、東京文化会館小ホールでアントネッロ公演を聴いた。指揮は濱田芳通。曲目はすべてヨハン・セバスチャン・バッハ。リコーダーを伴うカンタータを中心にしたプログラム。前半にカンタータ第106番「神の時は最上の時」、第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」、第152番「出で立て、信仰の道に」、後半にブランデンブルク協奏曲第4番とカンタータ第4番「キリストは死の縄目につながれたり」。
ブランデンブルク協奏曲と最後の曲を除いて、これまで実演で聴いたことはなかったと思う。いずれもバッハらしい信仰にあふれた宗教カンタータ。
アントネッロは、バッハ・コレギウム・ジャパンとは異なって、あまり厳粛な雰囲気の演奏はしない。欧米で言えば、ミンコフスキの指揮するレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルのような演奏スタイルだと思う。アントネッロがバッハの信仰心あふれるカンタータをどう演奏するか関心があったが、さすがというべきか、まさに躍動感のある信仰心を聴かせてくれた。厳粛ではない。生き生きとして生命力にあふれている。「死」がしばしば歌われるが、決して暗くはならない。そこに生命力がある。これこそが信仰だと思えるような強い思いが歌われる。
オーケストラも素晴らしいが、歌手陣もきわめて高いレベルで充実していた。中でも中山美紀が圧倒的な美声を聴かせてくれた。宗教曲にふさわしい清純な癖のない声で、透明感にあふれている。音程もよく躍動感も素晴らしい。バスの松井永太郎も安定した声で見事。テノールの中嶋克彦もしっかりした美声でしなやかに歌う。アルトの中嶋俊晴は、後半かなり良くなったが、前半、音程が定まらない気がした。やはりカウンターテナーは難しい!
後半の最後の曲は、第4番(BWV4)ということなので、バッハごく初期の曲だろう。だが、とても魅力的な曲。このカンタータはすべての曲の最後でハレルヤが歌われる。第2曲のハレルヤの合唱は躍動感にあふれ、初々しい信仰心にあふれており、感動的だった。終曲のハレルヤはしみじみとして美しかった。
BCJのバッハもいいが、アントネッロのバッハもいい。あえてどちらか一つを選ぶとすると、私はアントネッロのバッハを選ぶかもしれない。
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