ひばり弦楽四重奏団 ベートーヴェンの四重奏曲 交響曲のようなスケール感!
2025年7月8日Hakuju Hallでひばり弦楽四重奏団演奏会を聴いた。ひばり弦楽四重奏団は、漆原啓子、漆原朝子(ヴァイオリン)、大島亮(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)という日本を代表する演奏家が結成した弦楽四重奏団。これまで5年をかけて、ベートーヴェンの弦楽四重奏の全曲演奏を続きてきたが、今回はその最終回。ただ、今回は第2ヴァイオリンは漆原朝子から直江智沙子に代わっている。本日の曲目は、前半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番とドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調、後半にベートーヴェンの第8番 「ラズモフスキー第2番」。
とてもよい演奏だった。気の合った仲間が自由に弾いて、いつの間にか心が一つになって盛り上がっていく、というような演奏。誰かが強く統率しているといった感じはなく、あくまでも自由意思によって音楽を作り上げていく。自由な雰囲気がとてもいい。そして、四人の気持ちが合致すると大きく熱く音楽が高まっていく。
第4番の第1楽章にまず驚いた。あまりにダイナミックでスケールの大きな演奏だった。まるで交響曲のような盛り上がりだった。「エロイカ」や「皇帝」のような大きさを持っている。一人一人が強く弦を弾き、激しい音を出す。それが絡み合って大きな世界を作っていく。最終楽章もドラマティックでアクセントを効かせた演奏だった。大変面白い演奏。この曲でこのような盛り上がりはとても意外だった。素晴らしかった。
ドビュッシーも、激しい思いこもった曲になっていた。シェーンベルクの「浄夜」を思うような演奏だった。官能や懊悩が激しく渦巻く。楽器が4台だけとは思えないような重層的な演奏だった。ドビュッシーにしては、あまりに直情的な感じがしたが、これはこれで感動的だと思った。
ただ、実を言うと、ベートーヴェンの第8番については、前半の2曲ほどには感動しなかった。もともと規模が大きく、深い感情に基づく音楽であるだけに、むしろ奏者が前のめりになりすぎている感があった。奏者が音楽を掌握しきれずにベートーヴェンに振り回されているとでもいうか。それはそれでよい演奏なのだが、私は、「ベートーヴェンそのものがすごいのだから、そこまで頑張らなくてもいいのに…」と思ったのだった。
アンコールはベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番の第1楽章。クールダウンするようなすっきりとした演奏。これもとてもよかった。
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