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コリンズ&礒絵里子率いる弦楽四重奏団によるブラームスのクラリネット五重奏曲に感動

 2025年8月30日、37℃を超す中、ヤマハホールでマイケル・コリンズ(クラリネット)と礒絵里子率いる弦楽四重奏団(礒絵里子・瀧村依里・吉田有紀子・羽川真介)によるクラリネット五重奏曲を聴いた。前半にキュフナー作曲(ウェーバー作曲とされていたもの)の「序奏、主題と変奏 変ロ長調」とモーツァルトのクラリネット五重奏曲、後半にブラームスのクラリネット五重奏曲。実を言うと、モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲は私の最も愛する室内楽曲だ。楽しみにして出かけた。

 キュフナーの曲はもしかしたら初めて聴いたかもしれない。親しみやすいメロディにあふれた曲だった。モーツァルトの五重奏曲は、コリンズはさすがの演奏。清澄でありながらも渋みがあって、静かな悲しみを感じさせる。それにしても何と美しい音楽であることか! 名曲にあふれるモーツァルトの曲の中でもこれは飛び切りの名曲だと思う。だが、演奏には少し不満を覚えた。弦楽四重奏が遠慮しすぎだと思った。モーツァルトだからあまり力を込めまいとしたのか、それともコリンズに遠慮しようとしたのか。もちろん悪い演奏ではない。礒のヴァイオリンは本当に美しい音色だし、羽川のチェロも知的に支えている。だが、全体でどういう音楽を作りたいのか伝わってこなかった。

 後半のブラームスは、打って変わって冒頭から内にこもった感情の高まりが強く感じられる演奏だった。弦楽器が強い音で深い感情を描き、それが徐々に高まり、そこに暗い情感のこもったクラリネットが加わる。コリンズは技巧をひけらかすでもなく、感情を大袈裟に語るでもなく、しっかりと弦楽器と呼吸を合わせて諦観の世界を作り上げていく。堅実で地味だからこそ、この曲ではいぶし銀のような美しさを醸し出す。

 私はこの第2楽章はブラームスの全室内楽作品の中でも圧倒的な楽章だと思っている。いや、ブラームスに限らない。すべての室内楽作品の中でも最高の一つだと思っているが、見事な演奏だった。クラリネットが静かに自分の感情を吐露し、人生を顧み、静かに生きる悲しみを独白する。大袈裟に孤独を歌うわけではないのだが、ひしひしと人生のありようが伝わる。第3楽章も美しいメロディが静かに響き、終楽章は一つ一つの変奏が少しずつ雰囲気を変えながら、これまた人生を顧みていく。

 とても満足だった。久しぶりにモーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲を味わうことができた。

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