チョン・ミョンフン&ミラノ・スカラ座フィル 最高の躍動!
2025年9月24日、サントリーホールでミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団公演を聴いた。指揮はチョン・ミョンフン。曲目は前半にヴェルディの歌劇「運命の力」序曲、と藤田真央の独奏が加わってベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、後半にブラームスの交響曲第4番。素晴らしい演奏だった。興奮した。
昨日、京響の演奏を聴いて、とても良い音を出していると思ったのだったが、世界の超一流オーケストラの音を聴いてみると、やはり違いに気づかないわけにはいかない。一つ一つの楽器の輝きやら深みやらが違う。アンサンブルに彩りがある。ひとことでいって、ミラノ・スカラ座の伝統の音がある! この音はほかのオーケストラでは出せない!
チョンの指揮は、躍動感と静謐さを併せ持っているのを感じる。見た目もそうだが、音楽も背筋がピンと立っている! キリリとして、ドラマティックで一つ一つの音の処理が見事。20年以上前になると思うが、チョンの指揮する東京フィルの演奏を随分と聴いた。そのころに比べて、少々おとなしくなった気はしないでもないが、音楽の気高さを強く感じる。
「運命の力」は、このオーケストラの得意の曲だろう。まさにヴェルディの醍醐味! クラリネットが美しい。
藤田真央が加わっての協奏曲も素晴らしかった。藤田のピアノはこの協奏曲にぴったりだと思った。第3番や第5番のように英雄的ではなく、もっと内向的で親密。藤田のピアノの一つ一つの音に命があり、まるで生命体を持った音たちが宇宙の中で動き回っているかのよう。第2楽章はことのほか感動的だった。オーケストラとピアノの掛け合いが終わった後、ピアノの独白とでもいうべき部分に移るが、この部分のリリシズムには言葉をなくした。繊細で魂が息づいている! すごい! 私は弦楽器と人の声が好きで、ピアノ演奏に感動することは滅多にないのだが、藤田のピアノには心の底から感動した。
ピアノのアンコールはシェーンベルクの6つの小さなピアノ曲作品19-4と5とのこと。藤田の音の輝きを聴かせてくれる曲だった。
ブラームスの第4番も圧倒的な演奏だった。意図的なのか、冒頭はかなり抑え気味だったが、徐々にまとまりができ、盛り上がり第一楽章の最後の高揚に向かっていく。そして、楽章ごとにもっともっと盛り上がり、終楽章パッサカリアでも変奏ごとにぐんぐんと高揚して、最後に爆発する。それを、躍動感と静謐さを併せ持った背筋の伸びた音楽で展開していく。その組み立てにも納得。興奮した!
アンコールは「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲と「ウィリアムテル」序曲の行進曲。このオーケストラのお得意の曲。どちらも最高の音楽。「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、おだやかながらシチリア島の悲劇をしみじみと感じさせる音楽、「ウィリアムテル」はまさに躍動と歓喜の音楽。華やかで色彩的で生きる力にあふれている。私のかなり老いてしまった心身に生気がよみがえった!
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