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金川真弓無伴奏ヴァイオリン・リサイタル 鮮明でスケールの大きなシャコンヌに感動

 2025年9月7日、浜離宮朝日ホールで金川真弓無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。曲目は前半に、エネスクの「幼き頃の印象」第1曲「吟遊詩人」、バツェヴィチの「4つのカプリース」より第2番、バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、後半にイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番とバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番。素晴らしい演奏だった。

 研ぎ澄まされた、思い切りのよい美音、冴えわたったテクニック、完璧な音程。淀みなく、かなり快速のテンポで音楽を進めていくが、強弱の取り方やアーティキュレーションによってしっかりした構成が出来上がっていく。思い入れのようなものは感じられない。精神性を音楽に加えるのではなく、音そのもので世界を作っていくのを感じる。だが、そうであるがゆえに、むしろ精神の高貴さが感じられる。

 前半の曲では、やはりバルトークが圧倒的だった。この曲は精神的苦悩のにじむ曲であって、そのように深刻に演奏することもできる。そのような名演奏も多い。だが、金川の演奏は精神性を付与しない。のびのびと鋭い音を重ねていく。だが、その中から言葉にできない精神世界が広がっていく。

 後半も素晴らしかった。イザイには、私は音による色彩の実験のようなものを感じた。様々な技法によって音色が微妙に変化しながら、緻密で繊細な小宇宙を作り上げていく。この曲でもぴたりと音が決まってシャープに展開されていく。

 バッハのパルティータは言葉をなくす凄さだと思った。抑制的に始まって、ジーグに至って快速で躍動。そしてシャコンヌに入る。鮮明でスケールの大きなシャコンヌだった。くっきりとどこまでも広がっていく。冒頭のモティーフが繰り返されるごとに、世界が広がっていく。感動のあまり涙がにじんできた。

 金川真弓。素晴らしいヴァイオリニストだとは前々から思っていたが、期待以上の感動を与えてくれた!

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