トリオ・アコードのメンデルスゾーン 第1番はまれにみる名演奏!
2025年10月14日、東京文化会館小ホールでトリオ・アコードの演奏会を聴いた。
トリオ・アコードはヴァイオリンの白井圭、チェロの門脇大樹、ピアノの津田裕也の3人のトリオ。今回の曲目は、ファニー・メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲ニ短調とフェリックス・メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番、第2番。
ファニーのこの曲は、実演でもCDでも何度か聴いたことがある。美しい旋律にあふれている。弟フェリックスに劣らない才能と言われるのが納得できる。とはいえ、この後にフェリックスの曲を聴くと、やはりその差の大きさを痛感しないわけにはいかない。ファニーの曲は旋律こそ美しいが、展開がシンプルで平板、ダイナミズムに欠ける。
フェリックスの第1番はまれにみる名演奏だと思った。若々しいエネルギーにあふれ、躍動する。生命感があり、同時に生きる苦悩もにじみ出る。しかも気品があって古典的な均整美を保っている。メンデルスゾーンはお金持ちのボンボンで、作った曲は内容がなく、薄っぺら・・・などと言われることがあるが、この演奏を聴くと、まったくそうでないことがよくわかるだろう。私は大いに感動した。
とりわけの津田のピアノの独特にリズムの刻みに導かれた第3楽章スケルツォと情熱的な終楽章は圧倒的だった。津田のピアノの音が鮮烈。しかも白井のヴァイオリンも小気味よく、門脇のチェロもそれを明快に支える。きわめてオーソドックスなアプローチだと思うが、音楽そのものが生命にあふれている。
後半の第2番も同じようなアプローチだと思う。第1楽章のちょっと不思議なリズムに始まって、こちらも激しい情熱にあふれた演奏だった。終楽章ではバッハのコラールが現れるが、確かに宗教的な雰囲気も現れる! ただ、こうして聴いてみると、第1番のほうが名曲だなあ・・・とは思ってしまった。少なくとも私は第1番ほどの高揚は覚えなかった。
アンコールは「歌の翼に」のピアノ三重奏版。明確で美しい演奏だった。
メンデルスゾーンの室内楽は最近でこそやっと演奏機会が増えてきたが、まだまだ十分に真価が知られていないと思う。もっともっと今回のような名演奏を聴かせてほしいものだ。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- ヴァン・カイック弦楽四重奏団 音楽そのものの醍醐味!(2026.10.09)
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)

コメント