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ドーリック弦楽四重奏団 すさまじいヤナーチェク!

 20251029日、横浜市鶴見区民文化センターサルビアホールで、ドーリック弦楽四重奏団の演奏を聴いた。曲目は前半にメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番 とヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、後半にブリテンの弦楽四重奏曲第3番。以前、この弦楽四重奏団を聴いてとても興味深く感じた記憶がある。今回は、客席が100前後の贅沢な空間を味わえるサルビアホールで聴いた。ただし、今回は以前とはかなりメンバーが変わっているらしい(今回は、マイア・カペザ、イン・シュー 、エマ・ヴェルニク、ジョン・マイヤースコー )

 メンデルゾーンについては、私は大いに疑問を抱いた。かなり大きな緩急をつけ、表情の味付けもかなり濃い。すべての音があまりに濃厚。過剰にロマンティックで起伏の激しいメンデルスゾーンになっている。小気味よいほどだが、こうなるとメンデルスゾーンの古典主義的な要素が消し飛んで、形式感が失われてしまう。もっとさっそうと演奏する中で、しみじみとした悲哀があってこそメンデルスゾーンだと思う。

 このような演奏タイプは次の曲目であるヤナーチェクにはうってつけだった。これはすごい演奏だった。研ぎ澄まされた濃厚な音で激しくうずく。まさに生命の疼きの音楽! 表情の変化もぴたりと決まり、聴く者の心の疼きと同調する。不快な不協和音がきりきりと私の魂を刺激する。私の中の煩悩がのたうち回る感じがする。なるほど、これが冷え切った仲の老妻を顧みず、27歳年下の人妻に欲望を燃やしたヤナーチェクの心の内だったのだろう。圧倒された。

 後半のブリテンについても同じようなタイプの演奏だった。私はこの曲を初めて聴いたと思う。とてもいい曲だと思った。死の直前に作曲された曲だという。そう思って聞くせいかもしれないが、ある種の諦観があり、研ぎ澄まされた感覚があるように思えた。ただ未熟者である私は、初めて聞いてもなんだか判断できない。

 演奏について気になったのは、これもメンデルスゾーンやヤナーチェクと同じような雰囲気の演奏になっていたことだ。メリハリが強く、緩急をつけて大きな味付けをしてロマンティックに演奏する。ブリテンの曲そのものがこうなのか、それともこの団体の味付けがこうなのか、私としては判断がつかなかった。

 アンコールはハイドンの作品64-3だとのこと。これはあまりメリハリのないしっとりした演奏だった。

 ともあれ、ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」については間違いなくとびっきりの名演奏だった。満足した。

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