東京二期会オペラ劇場「こうもり」 音楽は楽しかった!
2025年11月28日、日生劇場で東京二期会オペラ劇場「こうもり」をみた。ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携によるアンドレアス・ホモキ演出のこのプロダクションをみるのは、たぶんこれが三度目だと思う。私は「こうもり」が大好き! 年末になると、このオペレッタをみたくなる。
今回の指揮はエリアス・グランディ。素晴らしい指揮者だと思った。細かいニュアンスもしっかりと表現しながら、躍動感があり、ウィーン情緒がある。三拍子をほんの少し遅らせる技も実に自然! 取り澄ました音楽でもなく、下品でもなく、とても勢いがあって楽しい。二期会合唱団も新日本フィルもしっかりと指揮に応えていた。
歌手陣も、突出した人はいないがバランスがよかった。アイゼンシュタインの又吉秀樹はまさにはまり役。この人の声量にも圧倒される。ロザリンデの木下美穂子、フランクの 山下浩司、オルロフスキーの小林由佳、アデーレの清野友香莉、アルフレードの大槻孝志、ファルケの菅原洋平、ブリントの新津耕平(カーテンコールにブリントの格好で登場したのは高橋淳さんのように見えたのだが、目の錯覚だったか?)もしっかり歌っている。
ホモキの演出については、細かいところでリアリティを殺さないように整合性を作り出しているところに特徴があると思った。アルフレートがアイゼンシュタインの部屋に入ってきたり出て行ったりと、確かに台本は曖昧だ。ホモキの演出では、洋服ダンスに隠れることになっている。確かにそう考えると辻褄が合う。オルロフスキーは、あまりに突拍子もない人間なので、確かにホモキ演出のように、実はファルケに雇われていた贋者と考えると、つじつまが合う。この演出では、最後になって冒頭部分に戻る。どうやらすべてが妄想だったということらしい。近年、よく見かけるタイプの演出だが、私は好みではない。
歌はドイツ語、セリフは日本語で語られた。賢明な選択だと思う。ただ、日本語のセリフ部分に関しては、私はあまりセンスが良いとは思えなかった。ベルリンでも同じようなセリフだったのだろうか。第1幕、第2幕のロジーナ、アイゼンシュタイン、アデーレのセリフも、フロッシュの鹿野由之の語りも、私はあまりおもしろいとは思わなかった。一般に世界中で行われている公演のほうがずっと気が利いていてしゃれているのに、なぜわざわざ面白くなくするのか、理解に苦しむと思った。観客席から笑いは聞こえてきたが、一般の公演ではもっと大きな笑いが起こるのではないかと思った。
それでも、「こうもり」の音楽は底抜けに楽しい。序曲冒頭から最後まで、私はずっとワクワクして聴いた。

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