ノット&東響 「子どもと魔法」 完璧なアンサンブルによる知的で軽妙なファンタジー
2025年11月15日、東京オペラシティ・コンサートホールで、東京交響楽団特別演奏会を聴いた。曲目は前半に、ドビュッシーの「夜想曲」より「シレーヌ」、デュリュフレの「3つの舞曲」op.6、後半にラヴェルの歌劇「子どもと魔法」(演奏会形式)。
フランス音楽にしては少し硬質と言えるだろう。しかし、きわめて精妙にして緻密。 昨日、NHKホールでデュトワ指揮のNHK交響楽団でラヴェルを聴いたばかりだったが、私は今日の演奏のほうに魅力をおぼえた。色彩的で香りにあふれている。一つ一つの楽器の色彩感が鮮明だと思う。とりわけ前半ではデュリュフレのオーケストレーションのおもしろさをたっぷりと味わうことができた。私はこの作曲家の作品はレクイエムしか聴いたことがなかったが、とても魅力的な作曲家だと思った。
後半の「子どもと魔法」はまさに絶品だった。
このオペラを演奏会形式にすると、一人が何役も歌うし、ファンタジックな内容なので、少々話がわかりにくいが、それ以上に楽器が見えて、音の組み立てがとてもよくわかる。改めてラヴェルのオーケストレーションの巧みさに驚く。そして、ノットの棒さばきに驚嘆する。知的で輪郭がしっかりして、精妙この上ない。ふだんは使われない木管楽器(イングリッシュホルンやバスクラリネットなどなど)の音色も美しい。それらの楽器を用いて、軽妙で悪戯心があり、やさしさのあるストーリーが展開する。
歌手陣も全員が完璧にそろっていた。子どもを歌う小泉詠子はいたずらっ子を見事に造形。加納悦子はこの人にしか出せない味をしっかり出して素晴らしい。加藤宏隆、近藤圭、鵜木絵里、金子美香、糸賀修平も歌のすばらしさとともにあまりの芸達者に驚く。そして、三宅理恵の声の美しさにも改めて驚嘆! キハラ良尚の合唱指揮による二期会合唱団も文句なし。全員が朗々と歌うのではなく、ラヴェルの音楽を理解し、ノットの解釈を理解したうえで、全体のバランスの上で歌っているのがとてもよくわかる。最高のアンサンブルだと思った。ラヴェルの魅力を存分に味わうことができた。
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