パスカル&読響の第九 緊張感と熱狂的な祝祭感
2025年12月18日、読売日本交響楽団 第九特別演奏会を聴いた。指揮はマキシム・パスカル、独唱は熊木夕茉(ソプラノ)、池田香織(メゾ・ソプラノ)、シヤボンガ・マクンゴ(テノール)、アントワン・ヘレラ=ロペス・ケッセル(バス・バリトン)、合唱は新国立劇場合唱団。素晴らしい演奏だった。
パスカルは激しくも大きな身振りで細かく指示を出す。長い腕を回し、くねらせ、時にジャンプする。そうやって緊張感にあふれながらも躍動する音楽が生み出されていく。かなりの快速ではあるが、大きな枠組みとしてはかなりオーソドックスな指揮だと思う。テンポを動かすわけでもないし、特別なことをするわけでもない。だが、音楽の切れがよく、鳴らすべきところの音に威力があるので、スケールが大きく、鮮烈でぐいぐいと推進していく音楽になっている。読響も指揮に応えて素晴らしい音を出す。ベートーヴェンらしく、華美にはならず、しなやかにもなりすぎず、剛健にして力感にあふれる音。
ものすごい緊張感でエネルギーにあふれた第一楽章も素晴らしかったが、私は第2楽章にとりわけ惹かれた。第二部(というのかな?)の高揚感はすさまじかった。第3楽章も、木管楽器にからみあいが見事。例のホルンの音階は、ちょっとだけ音がかすれたような気がしたが、許容範囲内だろう。そして、終楽章。4人のソリストはいずれも見事。アントワン・ヘレラ=ロペス・ケッセル(どれが苗字なんだろう?)は威厳のある美声。ソロの後半、ちょっと音が乱れたのが残念。マクンゴは明るめの声で少しオペラ風の歌いまわしだと思った。むずかしいパッセージだと思うが、切れよく歌った。池田のメゾは、あまり目立たないこのパートをしっかりと引き立たせていた。熊木は張りのある美声。ただ、一人一人は大健闘だったが、四人の声のアンサンブルはちょっと乱れた。合唱は60人前後だと思うが、声がよく出ていて見事。
終楽章後半のオーケストラの熱狂的と呼んでよいほどの祝祭感はすさまじかった。しかも、そうでありながら、まったくオーケストラに乱れが感じられなかった。感動した!
全体的に、まったくダレるところのない躍動する壮大なる第九だった。マキシム・パスカルおそるべし。第九の曲の威力に改めて圧倒された。
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