加耒徹「クリスマス・コンサート」 知的な絶唱!
2025年12月17日、KIRAホールで加耒徹歌シリーズvol25「クリスマス・コンサート」(昼の部)を聴いた。ピアノ伴奏は松岡あさひ。
曲目は前半は、加耒さんが今年、録音したりコンサートで取り上げたりした曲とのこと。「白鳥の歌」の第一曲「愛のことづて」、「詩人の恋」の第1曲、「リーダークライス」の第2曲、クララ・シューマンの「君が美のために愛するのなら」、ヘンデルの「ロデリンダ」の「暴虐が彼に国を与えた」。そしてカンツォーネ、バッハのカンタータ「パンとフェーブスの歌合戦」より。
いずれも素晴らしい。最初の音からして完璧な音程なのに、驚いた。どんな歌手でも最初はちょっと不安定になりがちなのに。そして、素晴らしい美声、しっかりした発音。それよりなにより、一つ一つの曲想の違いを、くっきりと、無理なく歌い分ける。曲ごとに、声の表情や声量だけでなく、声の響き、発音まで明確にコントロールしていることがよくわかる。弱音を活かす曲も、劇的に盛り上げる曲も、本当に自然で美しい。
きわめて完成度の高い知的な歌唱だと思った。カンツォーネもきわめて知的。バリトンとテノールの違いはあるが、ヴンダーリヒの録音でこんなカンツォーネを聴いた記憶がある(探せば、我が家のCDの棚のどこかにあるのだが、探すのが面倒!)。あまりイタリア的ではないが、私のようなドイツ音楽好きには、このようなアプローチのほうがずっとすんなりと楽しめる。
休憩後、バッハの「クリスマス・カンタータ」から「偉大なる主よ」と「照らしたまえわが暗き心を」、そしてヘンデルの「メサイア」から「なにゆえ世の国民は」。素晴らしい演奏だった。さすがのバッハ! 松岡あさひのピアノ伴奏が、バロック音楽としてはかなり独特というか、あまりバロック音楽らしくなく、かなりロマンティック! きっと意識的にこのような演奏にしているのだろう。このような演奏であるからこそ、前半、そして、この後演奏された「クリスマス・キャロル・メドレー」にうまくつながり、コンサートがうまく完結する。最後の日本語による「さやかに星はきらめき」はまさに絶唱!
最後のヘンデルの「メサイア」から「トランペットが鳴り渡ると」。これも、すばらしかった。アンコールは、「サンタクロースがやってくる」。これもみごと。
加耒徹、すごい歌手だと改めて思った。きわめて知的であって、形が崩れない。だが、知的に洗練された劇的な歌を聴かせてくれる。
ただ、個人的にとても残念なのは、客のほとんどが女性であること。私のほかに一人だけしか男性客はいなかった。まったくもってアウェイの雰囲気! 「ハンサム四兄弟」の一人なので、女性ファンが多いのは仕方がないが、ちょっと居心地が悪かった。もっと男性にこのシリーズに来てほしいと思った。
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