ゲッツェル&都響の第九 興奮した!
2025年12月25日、東京芸術劇場で都響スペシャル「第九」を聴いた。指揮はサッシャ・ゲッツェル。素晴らしい演奏だった。興奮した。これまで実演で聴いた第九の中で最も感動した演奏の一つだと思った。
かなり正統派の演奏と言ってよいのだと思う。きわめてゲルマン的ともいえるだろう。低弦が強く、とりわけコントラバスが大活躍する。どっしりとしている。そのうえで、細かいニュアンスも大事にして、格調高く、スケール大きく、じっくりと音楽が進んでいく。構成感もしっかりしており、細部が一つ一つ組み合わさっていく様子がよくわかる。しかし、一つ一つの音に勢いがあり、生命力があるので、まったく不自然ではない。私は音楽にぐいぐいと引き込まれていった。
第1楽章はとてつもなく素晴らしかった。こんな雄大で魂をえぐるような第一楽章を久しぶりに聴いたと思った。第2楽章の「切れ」については、先日聴いたマキシム・パスカルほどではなかったが、雄渾にして深みのあるスケルツォだった。第3楽章は圧巻だった。木管の音、ホルンの音が本当に美しい。音楽の素人なので専門的なことはわからないが、これまで実は二度のファンファーレを不思議に思っていた。一度でいいではないかと思っていた。が、今日、初めて、これは二度でなければならない!と納得した。二度のファンファーレの間、私はずっとうっとりしていた。
第4楽章も見事な展開だと思った。オーケストラによるレチタティーヴォの部分も実に自然だと思う。下手をすると、つぎはぎのようになるところ、まったくそんな感じがない。素人である私には、具体的にどこをどうやってそうなっているのか、さっぱりわからないのだが。
ソリストたちも素晴らしかった。バリトンの加耒徹は音程のよい安定した美声で知的に抑制して歌う。先日の神奈川フィルの第九の際の青山貴のバリトンを聴いて、フリッチャイの指揮のもとでフィッシャー=ディスカウの歌う、まるで「冬の旅」のような第九を思い出したのだったが、加耒の歌もそれに近いと思った。一つ一つの言葉がニュアンスにあふれている。ただ、フィッシャー=ディスカウほど知性が勝ちすぎている感じはない。テノールのチャールズ・キムも同じように知的だと思った。先日の神奈川フィルの第九でも独唱者を務めていたが、その時はオペラ風の歌い方だと思ったのだったが、今日はもっと抑制した感があった。明るめの声がとても魅力的だ。ソプラノの森谷真理はよく伸びる美声、メゾソプラノの小林由佳はしっかりした声。4人のアンサンブルもきれいにまとまっていた。合唱は新国立劇場合唱団。80名前後だと思うが、無理なく声が出て、オーケストラとのバランスもとてもよかった。最後の高揚も一緒に踊りだしたくなるほど。ただ、この部分も、先日のマキシム・パスカル&読響のような狂喜乱舞といった感じはなく、理性の範囲内にいる雰囲気ではある。しかし、ここも素晴らしい!
心から感動した。しばらく興奮状態だった。ゲッツェル凄いと思った。都響も独唱者たちも合唱も素晴らしいと思った。
今日はクリスマス・イブ。大急ぎで帰って、孫たちとそれなりのごちそうを食べ、クリスマスケーキを食べた。2025年もあと数日を残すのみ。
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