サーディのグリーグとフォーレとフランク 真面目なヴァイオリン!
2025年12月7日、杉並公会堂で、ヤメン・サーディ ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。ピアノ伴奏はジュリアン・カンタン。
サーディは2022年、25歳でウィーン国立歌劇場のコンサートマスターに就任した若きヴァイオリニストで、世界で活躍しているとのこと。曲目はグリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番とフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番、後半にアルベニス(クライスラー編曲)の組曲「エスパーニャ」より第2曲タンゴ、第3曲マラゲーニャ、ファリャ(クライスラー編曲)の歌劇「はかなき人生」スペイン舞曲、そして最後にフランクのヴァイオリン・ソナタ。
いたって真面目なヴァイオリン! 誇張せず、はったりも示さず、芝居っ気も示さず、茶目っ気も出さず。素晴らしい美音であり、テクニックも見事なのだが、ただ私としてはあまりに真面目過ぎて、ちょっと面白くないと思った。少なくとも、もう少しメリハリをつけてくれなければ、音楽の構成が聞こえてこないし、作曲家の心が伝わらない。きっと、誇張しないのがこの人の持ち味であり、この人のモットーなのだろうが、それにしても後半の舞踊の音楽までもが謹厳実直に演奏されると、息苦しくなってしまう。素晴らしいテクニックと音色であるのがもったいない気がする。
フランクのソナタも、確かに盛り上がっていくし、ロマンティックで美しいのだが、もっともっと内面が燃焼する音楽のはずなのに、きれいなだけで終わっている。
きっとオーケストラのコンサートマスターはこれでよいのだろうが、ソリストとしてはもう少し自分の表現がほしい。
ピアノのカンタンも、素晴らしい美音で粒立ちの美しさは格別だった。だた、なんだか時々妙にリズムが窮屈になるのを感じたが、気のせいだったか。
アンコールは2曲。1曲目はシュトラウスの「明日」のヴァイオリン・ヴァージョン。しっとりと演奏されて、私はこれに最も感心した。もう1曲は知らない曲だった。ちょっと楽しい雰囲気の曲だったが、これも感情が抑制されているのを感じた。
きっとこれから経験を積んで大成していくヴァイオリニストなのだろうと思った。
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