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沼尻&神奈川フィルの第九 第4楽章に不満をおぼえた

 2025年12月20日、横浜みなとみらいホールで神奈川フィルハーモニー管弦楽団のベートーヴェンの第九交響曲演奏会を聴いた。指揮は沼尻竜典。

 第九の前に、小島弥寧子のオルガンでバッハの「18のライプツィヒ・コラール集」より「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV659、「オルガン小曲集」より「われらキリストを讃えまつらん」BWV609、ヘンデルの組曲ニ長調HWV341よりⅠ.序曲 Ⅲ.エア(メヌエット) Ⅳマーチ(ブーレ)(トランペットは林辰則)。ただ、どうも私はオルガン曲を楽しむ耳を持っていないようで、あまりおもしろく思えなかった。いろいろと興行側の都合があるのかもしれないが、私としては第九演奏会は、第九だけで十分だと思うのだが。

 第九については、かなりオーソドックスな演奏だと思う。第1楽章は、溜めを効かせた、かなり巨匠風の音楽づくりと言っていいだろう。スケールが大きく、低弦がよく鳴って、大きくうねる。ただ、どうしても、これまで繰り返し聴いてきたタイプの演奏だな、と思ってしまう。一昨日に聴いたマキシム・パスカル指揮による読響の演奏の斬新さを感じない。そして、やはりオーケストラの切れがちょっとよくない。大健闘はしているけれど、むしろ「頑張り」を感じてしまう。

 第2楽章も同じ印象だった。頑張っている。が、私の心はぐっと感動しない。「いいなあ」と思うところは多々あるが、それで終わってしまう。ただ、第3楽章は感動した。弦のピチカートの後、ホルンが鳴って、その後、静かなヴァイオリンが響く。その時、私は感動に震えた。コンサートマスターの石田泰尚のヴァイオリンの音の美しさのおかげも大きかったと思う。前方の席だったので、石田さんの音がよく聞こえた。素晴らしいと思った。

 そして、第4楽章。合唱が出てくるまではよかった。バリトンの青山貴はかなり工夫した歌唱! 昔のフィッシャー=ディスカウがフリッチャイの指揮で歌ったとてつもない歌唱が録音で残っているが、そこまでとは言わないものの、それを思い出させるようなニュアンスあふれる歌だった。テノールのチャールズ・キムも少し独特の声で、これまた個性的だった。メゾソプラノの山際きみ佳、ソプラノの伊藤晴も健闘。ただ、それぞれ個性的なので、どうもアンサンブルがうまく溶け合わないのを感じた。

 ただ私が最も気になったのは、神奈川ハーモニック・クワイアの合唱だった。40名前後の比較的小規模の合唱団で、声はよく出ていたのだが、厚くて激しいオーケストラに負けまいとするあまり、声を張り上げて余裕がなくなった。後半は、私には、ひたすらがなりあっているように聞こえた。熱狂と言えば熱狂だが、あまりに頑張って余裕がなく、バタバタしすぎだと思う。形が乱れ、雑になる。私には空疎な高揚に聞こえる。

 大喝采が起こったが、私は少々不満が残った。

 

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