五島列島旅行
2025年1月18日から21日まで、大手旅行社のツアーで五島列島旅行に出かけた。このところ潜伏キリシタンに関心を持っていた。何冊か本を読み、遠藤周作も何冊か読み返した。一昨年の秋、一度、別の会社のツアーを申し込んでいたが、事情があってキャンセルして、改めて60歳以上限定の今回のツアーに申し込んだ。海外の団体ツアーは何度か利用しているが、国内はこれが初めてだと思う。少なくとも初回は、五島列島旅行はツアーで回る方がよかろうと判断したのだった。
1月18日(初日)
朝、羽田空港を出発、長崎空港から長崎港に向かい、14時発の九州商船ジェットフォイルで奈良尾港へ。到着は16:15。そのまま新上五島町のホテルへ。天気に恵まれていた。稀なほどの暖かさ。昼間は15度くらいあった。
ジェットフォイル(時速80キロ前後で走行)の窓から青々とした海の上に濃い緑の島影が見える。右手に中通島を見ながら福江を経由し、その後、左右に小さな島々を見ながら奈良尾へ。その時点で、五島列島が単に5つの島ではなく、岩だけ突き出したような小さなものを加えると数百の島からなっていることを実感する。ベトナムのハロン湾を思い出す。その後、島をめぐって何度となく感じたことだが、まさに絶景! 遠浅の岸はほとんどなく、切り立った崖が多い。晴天の空のもと、透明な海の上にたくさんの緑豊かな島が突き出ている。
奈良尾港到着、周辺には港の施設以外にはめぼしいものはない。バスで新上五島村のホテルへ向かう。山が迫り、しばしば入り江が見え、美しい自然の傍らに教会や学校、寺院などの施設が見える。美しい自然の中に息づく島だ。
ツアーのメンバー全員で夕食。最初にどこに座ったかでかなり人間関係に影響が出るのがツアーの特性だろう。私は幸い、この時に近くに座った二人の高齢女性と一人の高齢男性と親しくさせていただき、ずっと楽しく過ごすことができた(私が最年少だった!)。日常生活では出会うことのないタイプの人と出会い、友となることの楽しさを味わった。
食事については、高齢者ばかりのツアーだとはいえ、ちょっとこれでは量が少なすぎる、とは思ったが、魚も肉もとてもおいしかった。
旅行初日は、移動と食事だけで終わった。
19日(2日目)。
朝食の後、近くをひとりで散歩。ホテルから海岸まで歩いて5分ほどだった。穏やかな入り江で、小さなボートが一艘浮かんでいた。
9時前にバスが出発。海童神社(海難防止を祈願する神社で、鯨の顎骨の鳥居がある)を見物した後、祈りの龍馬像(龍馬が来て、亀山社中の専用船「ワイル・ウエフ号」が水没した場所に向かって祈ったという伝えを記念して10年ほど前に作られた像)へ。龍馬に関心のない私としては、こんな絶景の場所にわざわざ人寄せのために銅像を作って自然美と環境を破壊する必要はなかろうに!と思った。
その後、頭ヶ島(かしらがしま)天主堂見学。30を超すという五島列島の教会の中でも最も歴史のあり、信徒に親しまれている教会らしい。もとは幕末に弾圧から逃れたキリシタンが作った木の教会だったが、1919年に現在の形になったという。石造りの小さな教会で、こじんまりとして美しい。中は船底をさかさまにした形だという。海に面した丘の中腹にひっそりとたたずんでいる。
午前中は日が照って暖かかったが、曇り空が広がり、だんだんと寒くなってきた。
五島地獄うどんと海鮮丼の昼食。海鮮丼はおいしかった。蛤浜ビーチ(夏の間はにぎわうらしい)で飲み物を飲んで、青砂ヶ関(あおさがうら)浦天主堂へ。赤い煉瓦の小さいながらも、凛とした風格のある教会。長崎県の多くの教会を手掛けた鉄川与助の設計になる。その後、矢堅目の駅で塩釜を見物(塩づくりの工程を見た)、その後、旧鯛ノ浦(たいのうら)教会見学。1880年代に建てられたのち、戦後になって、浦上天主堂の被爆した煉瓦を使って増築されたという、赤煉瓦のこじんまりした教会だ。
ホテルで夕食、その後、暗くなってから、寒い中、有川神社にて「上五島夜神楽」をみた。五島列島では古くから神楽が舞われていたという。地域の有志が神楽を保存しようとし、おそらくそれに大手旅行会社がタイアップして、現在の状況が生まれているのだろう。1時間ほど、「座祓」「折敷舞」「恵比須舞」「獅子舞」「八饌花米舞」の5つの舞をみた。迫力ある太鼓、声もあって、退屈せずに見ることができたが、私に深く理解する能力がないのが残念。それにしても、保存に力を尽くしている有志には頭が下がる。素晴らしいことだと思う。
20日(3日目)
若松港に向かい、五島旅客船で福江港へ。移動中もずっと絶景! もちろん観光客だけでなく、生活の脚として船を使っている人がたくさんおられる。島の移動は本当に大変だと思う。
港近くのホテルでイタリアンの昼食。これも量は少ないが、なかなかおいしかった。その後、バスで井持浦(いもちうら)教会へ。
丘の上に立つ赤煉瓦の教会で、こじんまりとして美しい。裏の崖に石で囲まれたマリア像があり、フランスのルルドを模して、「ルルド」と呼ばれて、ここから湧く清水も体に良いとされている。
ルルドというのは、病を治す奇跡の水で有名な南フランスの村。年間、600万人が聖地めぐりとして訪れるという。40年以上前、南仏モンペリエに一か月ほど滞在したとき、一度、ルルドまで足を延ばそうかと計画したことがある。私は断念したが、実際に行った知人は、ちょうど何かの記念日だったとのことで、奇跡を願って集まった病人や障碍者のどこまでも続く長い長い列に圧倒されたという話をしていた。日本の教会に「ルルド」を作ると企画した人は純粋な信仰心なのかもしれないが、本格的な奇跡の村を真似て「ルルド」と呼んでありがたがるのには少々抵抗を感じる。とはいえ、100円で購入した小さなペットボトルに清水を入れて、食事の前後の薬を飲むのに使いはしたが。
その後、島の高台に行き、福江島の西端の大瀬崎断崖展望台から海を眺める。突き出した小高いところに灯台があって、海を見守っている。寒かったが、海の美しさ、島の美しさには息をのんだ。
そのまま、福江港近くのホテルへ。夕食はツアーにはついておらず、個人で食べることになっていた。ツアー仲間4人で魚料理を食べに出た。刺身、寿司など満腹するまで食べた。さすがに絶品だった。
1月21日(4日目
朝のうち、徒歩で港に行き、フェリーで長崎港へ。到着後、すぐにバスで空港に向かい、昼食の時間もとれないまま、コンビニで買ったサンドイッチとおにぎりを搭乗口の前でほおばった。羽田空港に15時ころに到着。
まとめ
・何はともあれ、五島列島の自然の美しさは素晴らしいと思った。ハロン湾を思わせる小さな島々、海そのものの美しさ、入り江の佇まい、山々、海岸。私は文化的なものを目的として旅行することがほとんどで、自然美を求めることは少ないのだが、これまでに日本で見た景色の中で、五島列島に私は最も感動した。
・今回の旅の目的は潜伏キリシタンだった。教会、潜伏キリシタンの生活、遺品などを見たいと思っていた。ガイドさんにそのような話を聞くことを期待していた。が、教会をいくつか見ることはできたし、それはとても感銘を受けたが、ほんの一部の表面を見ただけで終わってしまった。
・大手旅行会社のツアーに参加しての旅行だったので、効率よく観光地をみることができたが、ホテルの質(3泊目のホテルは、大浴場はあったが部屋に浴槽はおろかシャワーもなかった)、料理の質と量にも少々不満を抱いた。物価上昇の現在、会社側ができるだけ料金を上げず、質を下げずにツアーを成り立たせようと最大限の努力をしているのはよくわかるが、観光客に島を満喫してもらうには、もう少し料金を上げるしかないのではないかと思った。
・ガイドさんはとても楽しくおもしろく五島を語ってくれたが、私向きではなかった。映画やテレビドラマのロケ地になったことやタレントさんの話などが長い時間をかけて語られたが、私はそんなことにはあまり関心がない。潜伏キリシタンについてもっと話を聞きたかった。が、まあ、これを言っても私のわがままというべきだろう。ともあれ、初めての五島列島で、列島の様々なことを知ることができ、その魅力を味わうことができただけで、今回のツアーはとてもよかった。
・私の旅の目的をかなえるために、個人でまた五島列島を訪れたいと思った。風光明媚、美しい教会、謎めいたキリシタンの生活、海鮮料理。五島は魅力にあふれている。
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コメント
私も福江に行ったことがあります。隠れキリシタンの歴史をたどるつもりでしたが、ろくに調べもせずに行ったので、教会をいくつか見るだけで終わってしまいました。もう十年以上前のことです。旅行記を読んで、懐かしく思い出しました。とはいえ、記憶が薄れていることにびっくりです。
投稿: Eno | 2026年1月25日 (日) 08時21分
Eno 様
コメント、ありがとうございます。
私も同じような思いをしたのかもしれません。どこかに資料館などがあったり、ガイドさんが潜伏キリシタンについてくわしく話してくれたりするのかと思っていたのですが、自分で調べていかなければ、むずかしそうです。
そして、本文には書かなかったのですが、過疎化が進んでいるようで、人口減に苦しんでいるようです。それもあって、かなり五島列島自体が変化しているのかもしれません。
投稿: 樋口裕一 | 2026年1月26日 (月) 09時22分