BCJのバッハのコラールカンタータ300年Ⅸ まさに至高の世界!
2026年2月7日、調布市文化会館たづくり くすのきホールでバッハ・コレギウム・ジャパン 教会カンタータ・シリーズvol.93 コラールカンタータ300年Ⅸを聴いた。300年前に作曲されたバッハのカンタータを改めて掘り起こそうというシリーズの9回目だ。8回目の演奏を聴いて、あまりのすばらしさに驚嘆したのだったが、今回もまた圧倒された。
曲目は、カンタータ第41番《イエスよ、今讃美を受けたまえ》、第92番《私は、神の心とみ旨に》、第111番《わが神のみこころが、常に成就しますように》、第123番《最愛のイマヌエル、敬虔なる者の君主よ》。
まず、バッハのカンタータの奥の深さに驚く。私の理解はきわめて浅いと思うのだが、それでも、どのカンタータも実におもしろく聴くことができる。まったく聴きあきない。信仰心が伝わり、音楽的な新鮮な展開に感心し、楽器の重なりに心惹かれる。もっともっとバッハの世界に浸りたい気持ちになってくる。
そして、演奏のすばらしさにもまた驚嘆する。
20年ほど前だろうか、BCJの演奏を何度か聴いて、正直言って、「確かに世界的なレベルだけど、まだ世界最高の演奏に比べると、ちょっと劣るよなあ」と思ったのだった。だが、このところ数回聴いた印象では、今やこれは間違いなく世界最高レベルの演奏だと思う。オーケストラも声楽陣もすべてが名人! それをまとめる鈴木雅明の指揮は一瞬として弛緩するところがなく、しなやかで厳粛で、しかも心優しい。まさに至高の世界!
第41番のバスのアリア、92番のソプラノのアリア、123番のテノールのアリア、41番の最初の合唱は本当に美しい! 111番のアルトとテノールの二重唱は二人のからみあいがあまりに絶妙、92番のバスのレチタティーヴォの名人技。そして、オーボエ、チェロ、チェロ・ピッコロなどオーケストラの聴きどころもたくさんある。
加耒徹のバスは温かみのある美声で知的にして繊細で、完璧な音程でしなやかに歌う。折り目正しく、高貴な雰囲気がある。カンタータにぴったり。吉田志門のテノールも同じように美声で知的で繊細、完璧な音程で歌う。テノールであるせいかもしれないが、バスの加耒よりは少し叙情性というか詩的な雰囲気が含まれる気がする。この二人の男声のためにカンタータ全体がきりりと締まり、気品にあふれる。ソプラノの松井亜希も清澄な声が魅力的だ。アルトの青木洋也はベテランの味を出して全体をまとめる。
本当に素晴らしい演奏だった。バッハのカンタータにふだんからもっと親しんでいれば、きっともっと理解を深められたと思う。今更ながら、自分のカンタータへの知識不足を残念に思った。
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