前田妃奈&久末航 フランクのソナタに感激!
2026年2月20日、東京文化会館 小ホールで前田妃奈ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。ピアノ伴奏は久末航。
若い女性客がたくさんいて、いつもと雰囲気が異なる。久末ファンなのだろうか。若い人がたくさんいるのはうれしいことだ。
曲目は前半にプーランクのヴァイオリン・ソナタ FP.119、ストラヴィンスキーのディヴェルティメント バレエ音楽「妖精の口づけ」より(S.ドゥシュキン編曲)、後半にシャルル・オーギュスト・ド・ベリオの「バレエの情景」とフランクのヴァイオリン・ソナタ。
エネルギーにあふれたパワフルなヴァイオリン! 多くのヴァイオリニストは、プーランクのソナタを弾く時、この作曲家特有の悲劇的で真摯な面と、人を食ったようなユーモラスな面、そして穏やかで繊細な面を、それぞれ強調する。そして、その多面性を浮き彫りにする。そして、フランス音楽的な屈折や遊び心を聴かせようとする。
だが、前田のヴァイオリンはそのような誇張は一切しない。フレーズごとの性格の違いを強調せず、一気呵成というか、恐ろしく音程のいい強い音でパワフルに弾き切る。久末のピアノもシャープで明晰でありながらも強い力にあふれている。フランス的なニュアンスは聞き取れない。
ちょっと一本調子で面白みがないと言えなくもないが、これがこの二人の表現なのだろう。確かにプーランクの実は一本気な魅力が浮かび上がってくる。ストラヴィンスキーも同じような表現だった。これも誇張しておもしろくできそうなところを一切誇張せずに弾き切った。
シャルル・オーギュスト・ド・ベリオという作曲家を初めて知った。1802年生まれというから、ショパンやシューマンなどと同年代のベルギー出身の作曲家だ。「バレエの情景」はヴァイオリニストにはなじみの曲らしい。同時代のベッリーニのオペラ・アリアをヴァイオリン曲にしたような曲だと思った。美しい旋律にあふれており、ロマンティックだが、高貴な雰囲気がある。澄み切った美音による演奏だった。
フランクのソナタは圧倒的に素晴らしかった。私は第2楽章と第4楽章で何度か感動に震えた。この曲でも、ちょっと背徳的で斜に構えたようなフランス的な雰囲気はない。まさに真正面から音楽そのものに率直に挑みかかっていく。そして、そこから最高の音と最高の高揚を引き出し、若々しいエネルギーが発散され、若い抒情が爆発する。凄いと思った。
アンコールは、2曲目と同じシャルル・オーギュスト・ド・ベリオの曲「セレナード」だという。これも私はベッリーニのアリアを思い出した。本当に美しいメロディ!
前半を聴いた段階では、真摯な演奏に感心しながらも、ちょっと物足りなく思っていたが、後半にはただただ圧倒させられ、感動するばかりだった。
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