チョン・ミョンフン&東フィルの「スコットランド」に感動
2026年2月23日、オーチャードホールで東京フィルハーモニー交響楽団の定期シリーズを聴いた。指揮はチョン・ミョンフン、曲目は前半にウェーバーの「魔弾の射手」序曲と、ソリストに岡本誠司が加わってブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、後半にメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。
チョン・ミョンフンがスペシャル・アーティスティック・アドヴァイザーに就任した後だったので、2002年、2003年ころだっただろうか。毎回興奮してチョン指揮、東フィルの演奏を聴いたものだ。あの頃の興奮を思い出した。
オーチャードホールのせいかもしれない。私の席からは音がクリアに聞こえない。が、背筋の伸びた見事な演奏だと思った。「魔弾の射手」は、ゆっくりと幻想的に始まって、ぐいぐいと音楽を推進していく。コントラバスがくっきりと陰影をつけて、音の刻みがきびきびしている。そして、大きく躍動する。見事というしかない。
ブルッフの協奏曲も、きりりと引き締まった美音による演奏。チョンの指揮と岡本のソロがぴたりと一致しているといってよいだろう。媚びるところがなく、技術をひけらかしたりも、情熱を誇張したりもしない。細かいところまで神経が行き届き、抑制的に弾き切る。しかし、間違いなく叙情にあふれている。とてもよい演奏だと思う。ただ、ちょっと地味かな…という印象を持たざるを得なかったが。
ソリストのアンコールはバッハの無伴奏。たしか、ソナタ第2番のアンダンテ。これも格調高くしっとりとした演奏。
後半の「スコットランド」は素晴らしかった。先月、読響の定期でヴァイグレの指揮によってこの曲を聴いたばかりだったが、演奏はかなり異なる。チョンのほうは、きびきびとして、時に昔のトスカニーニを思わせる剛腕と言えるような強さを見せる。弦の荒々しい音が響き渡り、引き締まった強い音を畳みかける。そこに、管楽器のしなやかで憂いのある音が加わり、立体的に音楽を作っていく。かなり快速で、若々しくエネルギッシュ。ちょっと荒っぽすぎるようなところもあったが、それはそれで素晴らしいと思った。第1楽章と第3楽章の高まりは素晴らしかった。そして、終楽章の結尾部は心が湧きたつような高揚感がある。昔の興奮を思い出した。
ヴァイグレの指揮する読響も名演だったが、今回のチョンの指揮する東フィルも劣らず名演だった。何度か感動に震えた。
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