東京・春・音楽祭オープニング・ガラ メンデルスゾーンの八重奏曲に圧倒された!
2026年3月13日、東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭オープニング・ガラ・コンサート 室内楽の夕べ第一夜を聴いた。3月7日から東ティモール旅行に出かけていたので、久しぶりのコンサートだった(旅行については、近日中にこのブログで少しくわしく書く予定)。
チェロの原田禎夫さんが体調を崩されたとのことで、曲目が変更された。前半は、フェデリコ・アゴスティーニのヴァイオリンと加藤洋之のピアノでモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第17番K296、店村眞積のヴィオラ、加藤洋之のピアノでブリテンの「ラクリメ」、堀正文のヴァイオリン、辻󠄀本玲のチェロ、野平一郎のピアノでシューベルトのピアノ三重奏曲「ノットゥルノ」。後半に加藤洋之と津田裕也のピアノでシューマンの「6つの即興曲〈東洋の絵〉から、そして最後にメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲(郷古廉、周防亮介、水谷晃、横溝耕一、佐々木亮、篠崎友美、辻󠄀本玲、横坂源)。
まさに日本の演奏家のトップクラスが終結したオールスターの競演! ただ、突然、曲目が変更になったせいかもしれない。前半の最初の2曲はきっと急遽合わせることになったのだろう。個々の楽器はよく鳴っているが、十分にリハーサルをしていないらしいのを感じた。息がぴたりと合わずに、音楽が自然に作られていかない。前半は、私は少々不満を抱いた。
後半になって俄然よくなった。シューマンの曲は二人の息が合って、見事にロマンティックな世界を作り上げた。ただ、ピアノ曲をほとんど聴かない私としては、感心して聴いただけで、それ以上の感銘は受けなかった。
最後のメンデルスゾーンは圧巻だった。メンデルスゾーン16歳の時の曲とされるが、あまりの完成度に改めて驚いた。同じころに作られたといわれる「夏の夜の夢」の序曲(昔は、この序曲は14歳のころの作曲と言われていたが、今では、それは間違いだったとされているようだ)とともに、メンデルスゾーンがモーツァルトをしのぐほどの天才だったことを示す曲と言えるだろう。まさに若々しくみずみずしい感性と情熱にあふれ、古典的に組み立てながらも実にロマンティック。
八人の奏者はこの若きメンデルスゾーンの魂を目の前で再現してくれるように聴かせてくれた。まさに若々しい演奏! 力にあふれ、情熱的でみずみずしい。ヴァイオリンだけ取っても、郷古のきりりとした音、周防の香しい音、水谷の勢いのある音、横溝の落ち着いた音が重なり合い、うねり、迸っていく。第一楽章も若々しさの爆発が素晴らしかったが、私はやはり終楽章のフーガに圧倒された。まさに音の奔流! しかし、それがきりりと引き締まって、気品を保っている。八人の若き名手たちの本領発揮。
前半は少し不満だったが、このメンデルスゾーンでその不満はすべて吹っ飛んだ。感動した。
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