ヴァンスカ&都響 とてつもないシベリウスの世界!
2026年3月26日、東京芸術劇場コンサートホールで東京都交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮はオスモ・ヴァンスカ、曲目は前半にシベリウスの交響曲第1番、後半に同じシベリウスの交響曲第4番。確信に満ちた演奏。素晴らしかった。
第1番はしばしば感情的に煽った演奏がなされる。が、ヴァンスカはそのようなことはない。都響から透明で強い音を引き出して、情に溺れないしっかりした足取りのシベリウスを作り出していく。
冒頭のクラリネットの音も実に美しい。徐々に楽器が広がっていくが、硬質でスケールの大きな音だと思う。澄み切った空にくっきりと自然が映し出されていくかのようだ。シベリウス特有の、短いモティーフをモザイク的に組み合わせてゆく手法も小気味よさを感じる。第4楽章の盛り上がりも、どこまでもクリア。我をなくして盛り上がっていくのではない。クリアなまま、スケールが大きくなり、なんだかまるで一つの宇宙を作り出すかのよう。
第4番にも同じような印象を持った。この曲は、第1番よりも、もっとずっととっつきにくい。親しみやすいメロディはなく、まさにシベリウス特有というのか、細切れのモティーフの連続になる。メロディに感情移入する前に、そのメロディは消えてしまい、別のメロディが現れる。
だが、ヴァンスカ&都響の演奏は、その部分部分があまりに美しい。研ぎ澄まされた音と音が重なり合い、精密でゆるぎない世界を作り出していく。まさに清澄にして深遠! ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲の達した境地と同じような孤高の境地とでも言おうか。第3楽章はとりわけ精妙。正直言うと、ちょっと退屈なのだが、緻密で緊張感あふれる音の展開。そして、終楽章。独特の音の宇宙が大きくひろがっていく。そして、なんだか唐突に終わる。
実は私はシベリウスのこの曲がまだよく理解できていない。が、ヴァンスカによって、とてつもない世界を聴くことができたことは、十分に納得した。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)

コメント