ノトス・カルテット ちょっと私には薄味すぎた
2026年3月3日、王子ホールでノトス・カルテットの演奏を聴いた。
ノトス・カルテットは創設から20年を超す常設のピアノ四重奏団。これまで、二、三度、聴いた記憶がある。今日、聴いているうち、そうだった、こんな演奏だった!と過去のコンサートを思い出した。
曲目は、前半にモーツァルトのピアノ四重奏曲第2番変ホ長調K493とブラームスのピアノ四重奏曲第3番、後半にシューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調Op.47。
良くも悪くも、きわめてオーソドックスな演奏だと思う。モーツァルトは実に流麗にしてしなやか。ヴァイオリンのシンドリ・レデラーは切れの良い明確な音、アンドレア・ブルガーのヴィオラも美しい。新たに加入したベンジャミン・ライのチェロもふくよかでしっかりした音、アントニア・ケスターのピアノも自然で粒立ちが美しい。
そして、ブラームスになると、とたんにブラームスらしくなり、深みのある男性的な音が響き、抑制した情熱が聴こえてくる。誇張せず、自然で的確。アンサンブルもいいし、格調高い。
とてもよい演奏なのだが、私には、作曲家の、そして演奏者の思いが聞こえてこない。ただ弾いているだけではなく、様々な工夫をしていることはわかるのだが、私の心をゆさぶらない。作曲者や演奏者が訴えようとしている物語やら思想やらが私の頭の中で構築されない。もちろん、私が未熟なのかもしれないが。
シューマンも同じように感じた。シューマンは私の好きな作曲家ではないので、よくわからないのだが、もう少しロマンティックな音のほうがふさわしいのではなかろうか。ちょっとそっけない音だと思った。あえてそうしているのだと思うが、それに代わる魅力的な何かが浮かび上がってくればともかく、それも私にはあるようには思えなかった。
俗な言葉で印象をまとめれば、とてもいい演奏だけど、ちょっと味が薄すぎて物足りないなあ・・・ということになるだろう。
アンコールはショスタコーヴィチの組曲「馬あぶ」の第7曲「プレリュード」のピアン四重奏曲版とのこと。まったく知らない曲なので、何とも言えないが、私はこれも、どう聴けばよいのかわからなかった。
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