« 東ティモール、バリ旅行 | トップページ | 映画「センチメンタル・バリュー」 三世代にわたって続く苦悩 »

サトーミチヨ×エスプリ・ストリング・クァルテット 良くも悪くも仲良しの仲間たちの演奏だった

 2026年3月15日、ヤマハホールでサトーミチヨ×エスプリ・ストリング・クァルテットの演奏を聴いた。曲目は前半に、キュフナー作曲(ウェーバー作曲と伝えられていた)の「序奏、主題と変奏曲」、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番、後半にモーツァルトのクラリネット五重奏曲。

 キュフナーの曲は初めて聴いた。なんだか、モーツァルトやシューベルトを思わせるようなメロディで親しみやすい。きれいな曲だと思った。サトーミチヨのクラリネットはふくよかで柔らかみのある音がとてもいい。エスプリ・ストリング・クァルテット(礒絵里子・中原恭子・神谷未穂・高橋純子)もしなやかで美しい。

 ショスタコーヴィチの弦楽四重奏については、これまたしなやかな演奏。ショスタコーヴィチの怨念の爆発する第2楽章も、かなりおとなしめといっていいだろう。それはそれで強い感情がほとばしるが、柔和さを感じる。私としては、もっと強烈に爆発してほしい。ちょっと予定調和的すぎるのを感じた。これがこの人たちの解釈なのだろうが、もっと狂気じみ、もっと怨念に満ち溢れているのがこの曲なのではないかと思う。

 モーツァルトのクラリネット五重奏曲についても同じような印象を抱いた。第1楽章を聴いた時点で、素晴らしい!と思った。クラリネットの音は心にしみる。明るい雰囲気でありながらも愁いを帯びて、本当に美しい。弦楽器もこの曲特有の、長調でありながらも暗い情感があって見事。

 ただ、第2楽章も第3楽章も、そして最終楽章も同じ雰囲気が続く。仲良しの仲間たちが和気藹々と音楽を紡ぎ出している。それはそれでいいのだが、「いやいや、この曲はもっと緊張感があるべきだろう!」と思い始めた。メンバーみんなが自己主張せず、思いやり、和を大事にして、仲良く楽しく音楽を進めていくのだが、それでは物足りない! そう、ショスタコーヴィチも同じだったが、このモーツァルトの、「凄味」がなくなっている。私が聴きたかったのは、「凄味」なのだが、それがない。

 演奏後のトークで、5人が昔からの仲間であることが語られた。仲間同士で演奏する良さが確かに今回の演奏に現れていたが、その弊害も間違いなくあったと私は思った。

 アンコールはベールマン作曲のクラリネット五重奏曲の第2楽章とのこと。初めて聴いた。これもキュフナーの曲と同じような雰囲気の親しみやすい曲。しっとりしていてとてもよかった。

|

« 東ティモール、バリ旅行 | トップページ | 映画「センチメンタル・バリュー」 三世代にわたって続く苦悩 »

「音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 東ティモール、バリ旅行 | トップページ | 映画「センチメンタル・バリュー」 三世代にわたって続く苦悩 »