クリストフ・プレガルディエン 知的で格調高く心の内を聴かせてくれる歌!
2026年4月7日、東京文化会館小ホールで、東京春音楽祭歌曲シリーズ、クリストフ・プレガルディエン(テノール)&渡邊順生(フォルテピアノ)を聴いた。
プレガルディエンはこれまで実演でも録音でも何度か聴いたことがある。いずれもとてもよい演奏だった記憶はあるが、実はそれほど好きな歌手ではなかった。高貴な声で知的に歌うのだが、あと少し心に残らない、そんな感じがしていた。
そんなわけで、音楽業界に身を置いているわけではないのにこのところ毎日コンサート通いをし、なんだかんだで気力も薄れてきて、もう今日はコンサートはやめておこうかとも思いながらも、ともあれチケットを購入しているので、聴くだけは聴いてみようと自分に言い聞かせて出かけたのだった。
曲目はすべてシューベルト。「白鳥の歌」の中の歌曲を中心に、それ以外の曲も織り交ぜたプログラムだった。シューベルトの歌曲についてとりわけ造詣が深いわけではない私は、これがどういう意図によって織り交ぜられているのかはわからない。ただ、前半から後半へ、シューベルトの思いが強まっていくように配置されているのを感じた。
ナマで歌曲を聴くと、さすがにプレガルディエンの歌は素晴らしい! 誇張せず、大声で叫ばず、さほどロマンティックに歌うわけではないので、確かに地味ではある。だが、声を完全にコントロールし、知的に、格調高く曲を構築していく。
1956年生まれというから、今年、70歳。まったく声の衰えはなく、言葉を明確に発音し、詩情を明確に伝えていく。そして、プログラム後半の「まち」や「影法師」では、知的に抑制しながらも絶望を歌い上げ、「アトラス」では、より深い心の奥を表現する。
フォルテピアノの伴奏によるシューベルトの歌曲を聴いたのは初めてかもしれない。初めのうちは、ピアノのような強弱によるロマンティックな感情の表現のない音に違和感を覚えたが、これはプレガルディアンの表現にとても合致していた。濃い味付けではない。しかし、親密で知的な雰囲気が広がり、心の内を聴かせてくれるような音楽が奏でられる。とてもよい演奏だった。
6日連続のコンサートだった。今日もめげずに聴いてよかった!
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