ピリオド楽器によるメンデルスゾーンの室内楽 裸の魂に触れた!
2026年4月16日、東京文化会館小ホールで、東京春音楽祭、メンデルスゾーンの室内楽を聴いた。曲目は、前半にピアノ四重奏曲第3番ロ短調、後半にピアノ三重奏曲第1番ニ短調と弦楽五重奏曲第2番変ロ長調。出演は、白井圭、石原悠企(ヴァイオリン)、笠井大暉、山本周(ヴィオラ)、山本徹(チェロ)、小倉貴久子(フォルテピアノ)。ピリオド楽器による演奏! きっとメンデルスゾーンの時代には、このような音で演奏されていたのだろう。
前半のピアノ四重奏曲はメンデルスゾーンが16歳のころの作品だという。現代楽器ではないので、ロマンティックに豊かには響かない。誇張された美しさがなく、裸の美しさが現れる。そうであるからこそ、若きメンデルスゾーンのなまの魂がむき出しにされた気がする。初々しくも激しい音楽。ただ、まさか16歳とは思えない完成度だが、やはり後半の曲に比べると、魅力に欠けるなとは思った。
ピアノ三重奏曲第1番は素晴らしかった。曲もいいし、演奏も見事。第1楽章は親しみやすいメロディがベートーヴェンの曲のように論理的に展開していく。第2楽章はとても美しいメロディ、そして、第3楽章のスケルツォは最高にチャーミングだった! 軽やかにして躍動的! 第4楽章の高揚も素晴らしい。フォルテピアノが躍動し、弦楽器の激しい音が魂の震えのように響き渡る。私の好きな曲の一つだが、緻密にして人間味にあふれる演奏に感動した。奏者たちが心を合わせてメンデルスゾーンの魂を目の前に追体験しようという姿勢が強く感じられた。
弦楽五重奏曲もなかなかの名曲だと思った。ピアノがないので、前の曲に比べて華やかさがない。その分、一層内面的になる。メンデルスゾーンの晩年の曲で、特有の渋みがある。モーツァルトの晩年の音楽のように、そこはかとない悲しみが漂い、深い人生観が音楽の中ににじみ出る。5台の楽器がぴたりと合って、重なり合い、絡み合いながら一つの世界を作っていく。その醍醐味に圧倒された。
大ホールで「マノン・レスコー」(演奏会形式)が演奏されていたためかもしれない。かなり空席が目立った。が、私にとっては至福の時間だった。
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