ブッフビンダーの弾き振り 「皇帝」の第3楽章で全身の震えが続いた
2026年4月6日、東京文化会館大ホールで、ルドルフ・ブッフビンダーのピアノ・指揮によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏の2日目を聴いた。管弦楽は東京春祭オーケストラ(コンサートマスターは豊嶋泰嗣)。曲目は、前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、後半に第5番「皇帝」。初日に続いて、素晴らしかった。
第1番は、曲そのもののせいもあるかもしれないし、私の修行不足もあるのかもしれないが、とてもよい演奏だなと思いながらも、少々退屈だった。きちんとまとまりながらも、そこに自由の境地というのか、自在の精神が宿っている。粒立ちの良い美しい音で、自在に弾きまくるが、まったく形が崩れず、自然に音楽が展開する。とてもよい演奏には違いない。
後半の「皇帝」は、曲に応じてスケール感が圧倒的に増して、ものすごい世界になった!
実をいうと、私は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では、3番と4番が好きで、5番はちょっと遠慮したい気持ちがある。もちろん、とんでもない名曲だと思うのだが、壮麗過ぎてついていけない気がする。あまりに巨大な世界に振り回され、打ちのめされ、ただただ目を回しているうちに曲が終わってしまう感がある。
ところが、ブッフビンダーの演奏は、間違いなく壮麗なのだが、どういうわけか、私を打ちのめさない。巨大な宇宙を駆け巡り、ちょっとアニメ的になってしまうが、まるで虹に乗って宇宙を駆け巡っている感じになる。壮麗なのだが、決して華美ではない。ともかく一つ一つの音が美しい。しかも、本当に自由を感じる。自由に宇宙を駆け巡っている! そして、それが一つの巨大な統一を作り出していく!
第3楽章後半では、私の身体は感動で震えが起こった。ベートーヴェンの交響曲では、録音でも実演でも、このような感動の震えはしばしば起こるのだが、この曲でこのような震えをおぼえたのは、生まれて初めてでないかと思う。感動した。1分以上、全身の震えが続いた。恍惚となった。
昨日の「さまよえるオランダ人」に続いて、大きな感動を味わうことができた。
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