ヴィオッティ&東響 近景の「ダフニスとクロエ」だった!
2026年5月17日から本日(24日)まで、北欧旅行に出かけていた(これについては近日中に印象をまとめるつもりだ)。さすがに帰国当日のコンサートはつらいと思っていたが、どうしてもロレンツォ・ヴィオッティの東京交響楽団音楽監督就任披露コンサートを聴きたくてチケットを購入。いったん帰宅してからミューザ川崎に向かうつもりだったが、今朝、7時55分に羽田に到着予定だったところ、2時間ほど遅れた。そのため、家に戻る時間がなくなり、駅のコインロッカーに荷物を預けて会場に向かった。
が、やはり時差ぼけのせいで眠くてたまらない。目をつむるとそのまま眠りの世界に真っ逆さまに落ちていきそう。
そんなわけで、前半の、マリーナ・レベカの歌うリヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」はところどころしか覚えていない。大好きな曲で、これこそが目当てだったのに!! ただもちろん、ロレンツォ・ヴィオッティの勢いのある音、レベカのドラマティックで強い歌声は心に残った。80歳を超えたシュトラウスの諦観の歌というよりは、生命力にあふれた音楽だった。
後半のバレエ音楽「 ダフニスとクロエ」では、完全に目が覚めていた。これまたドラマティックな音! 東響の音は色彩感にあふれ、大きく躍動する。東響の楽器もとても美しい。とてもよい演奏と言ってよいだろう。だが、実は私は少々違和感をおぼえざるを得なかった。
私の勝手な思い込みかもしれないが、私はこの曲を遠景の音楽だと思っている。かなり遠くからダフニスとクロエの恋を見守り、遠くで牧歌的な周りの風景をみている、そんなイメージを抱きながら音楽を聴いてきた。近代的な、複雑な心理を持った男女ではない。大自然の中の素朴な若い男女の恋の営みがこのラヴェルの音楽だと思っている。
ところが、ヴィオッティの指揮はまさに近景。複雑な近代人の心の中をえぐり、人物の近くからドラマを盛り上げる。激しい音が鳴り、初々しい感覚が渦巻く。映画で言えば、登場人物が顔をゆがめ、クローズアップでそれを追いかける。ヴィオッティの指揮する音楽を聴くと、苦悩する人間の顔の表情が見えるかのようだ。
私としては、クローズアップではなく、離れたところからひそかに恋を描いてほしい。まさに顔の表情ではなく、バレエのように、遠くから、身体のちょっとした動きで苦悩が見える程度にしてほしいと思う。そうしてこそ、最後の場面、大自然に人間が溶け込み、大きな宇宙になる部分が聴く人々を感動に導くと思うのだ。
今日は、私の求める音楽ではなかったが、きっと次には私の求める音楽を作ってくれそうな気がする。
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コメント
北欧にお出かけになっていたんですか! しばらく更新がないなと思っていました。それにしても、今度はアジア・中東ではなく、北欧なんですね! 旅行記が楽しみです。
ヴィオッティの演奏会評、「遠景」「近景」の表現がとてもおもしろく、演奏のニュアンスが実感としてよく分かりました。
投稿: Eno | 2026年5月26日 (火) 08時25分
Eno 様
コメント、ありがとうございます。
北欧の旅は、実質5日間と言ってよいほどの日数で4か国を回りましたので、観光らしい観光はできませんでしたが、それなりに得るところはありました。明日か明後日には、ブログに感想をアップできるかもしれません。いつも以上にたいしたことは書けませんが・・・。
ブログ、しばしば拝見しています。ますます幅広く聴かれていることに驚嘆しています。ブラームスの二重協奏曲、私も好きな曲で、一時期、冒頭部分を携帯電話の通知の音楽にしていました。ミヒャエル・ザンデルリンクは何度かとてもよい演奏を聴かせてもらいました。
投稿: 樋口裕一 | 2026年5月26日 (火) 23時43分