ミュンヘン・フィル&シャニ&チョのベートーヴェンの協奏曲第3番 重心が低いながらも圧倒的な躍動感!
5月12日のミュンヘン・フィルのチケットを購入したつもりだった。だから、ブラームスの4番をメインとするコンサートのつもりだった。ところが、今朝、明日の予定を明確にするためにチケットを確認してみたら、なんと手元にあるのは今日(11日)のチケットだった。悪い予感がして曲目を調べてみたら、なんとメインはマーラーの「巨人」。大嫌いなマーラーの大嫌いな「巨人」! しばらくどうするかを考えたが、ともあれ前半だけでも聴くことにした。指揮はラハフ・シャニ。このところの大活躍は日本にも届いている。
曲目はまずモーツァルトの「後宮からの誘拐」、次にピアノのチョ・ソンジンが加わってベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。
欧米の名門オケの音を聴くたびに思うのだが、最初の1音からして、独特の香りがあり、深みがある。どこでも同じような中性的な音のする日本のオーケストラとはまったく異なる。具体的にどこが違うのかわからないのだが、きっと誰もがこの音の違いは感じるのではないか。
「後宮からの誘拐」は若々しい演奏。シンバルと大太鼓とティンパニでくっきりと縁取りをして、重心の低い、ややドスンとくるような音。しかし躍動感がある。弦の音の深みが素晴らしい。シャニの指揮はきびきびして、アクセントが強く、音に弾力がある。このオペラの序曲にふさわしく、わくわくさせながら見事に終わった。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲も、「後宮からの誘拐」と同じように、躍動にあふれる音楽だった。このところ、東京春音楽祭のブッフビンダーとラ・フォル・ジュルネのフレデリック・ギィの弾き振りでこの第1番の演奏を聴き、実はどちらもよい演奏だと思いながらも、オーケストラがバタバタしているというのか、地に足がついていない雰囲気を感じたのだった。ところが、今日の演奏は、じっくりと地に足がついている。
ちょっと遅めのテンポだが、「後宮からの誘拐」と同じように、縁取りに明確な音で、若々しく躍動的。弦楽器が本当に美しい。管楽器もニュアンスにあふれている。おそらく、チョ・ソンジンの解釈なのだと思うが、第2楽章で異様に遅くなり、しっとりとゆっくりと抒情を奏でた。チョのピアノは一つ一つの音に芯があるような美しさ。ぐいぐいと引き込まれた。
ピアノのアンコールでベートーヴェンの「悲愴」の第2楽章。ただ。これについては、私はあまり魅力を感じなかった。ピアノをあまり聴き慣れない私の聴く耳がないのかもしれないが・・・。
ここで前半が終了。マーラーを聴くのは私にとって拷問に等しいので、ここで退散した。前半だけで、ミュンヘン・フィルを十分に堪能した。
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