タバシュニク&新日フィル 彫りの深いブラームス
2026年5月8日、サントリーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴いた。指揮はミシェル・タバシュニク、曲目は前半にラヴェルの「ラ・ヴァルス」と、アンドレイ・イオニーツァのソロが加わって、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番、後半にブラームスの交響曲第2番。
タバシュニクは作曲家でもあると聞いていたので、ブーレーズのような緻密な指揮をするのかと思っていたら、きわめて男性的というべきか、ちょっと荒っぽい、剛腕で彫りの深い指揮ぶりなので、意外だった。「ラ・ヴァルス」は、流麗でしなやかなところがあまりなく、時に低音の効いた激しい音が鳴る。少なくとも私の考えるラヴェルの音楽とはかなり違うが、それはそれでとてもおもしろかった。重ったるくて、ドスの効いたワルツとでもいうか。重ったるいとはいえ、勢いがあって、オーケストラが激しくうごめく。
ショスタコ―ヴィチのチェロ協奏曲第1番は久しぶりに聴いた。イオニーツァはかなり颯爽としており、ショスタコーヴィチ特有の内にこもった激しさはない。第3楽章のカデンツァなどきわめてクリアで繊細。これはこれで新鮮なショスタコーヴィチだと思った。ただ、指揮者がどのように思って音楽を作っているのか、よくわからなかった。イオニーツァに合わせたのだろうか。
ソリストのアンコールの曲は何だったのだろう。イオニーツァが英語で作品名を言ったようだったが、聞き取れなかった。超絶技巧の現代曲。凄い! テクニックに圧倒され、その舞踊的な音楽性に魅了された。
後半のブラームスの第2番の交響曲もまたきわめて男性的な演奏だった。個性的と言ってよいだろう。しばしばテンポが遅くなり、重くなり、低音の効いた激しい音になる。かつての巨匠風の演奏と言えるかもしれない。しなやかさや繊細さはあまり感じないが、これはこれできわめてロマンティック! ちょっと恣意的な感じがしないでもないが、それはそれできわめて勢いがあり、スケールの大きなうねりがあり、激しく高揚するので、聴いている者としては音楽に身をゆだねて感動する。ただ、新日フィルの音はちょっとバタついているような気がする。指揮者がこれで良しとしているのかどうか・・・。
よい演奏かどうか私には判断しかねるが、私はとてもおもしろい演奏だと思った。特にブラームスは大いに楽しんだ。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)
- ハチャトゥリアン、ヴァルチュハ&読響 興奮した!(2026.09.15)
- ピノック&紀尾井室内管のドイツ・レクイエム よい演奏だが感動しなかった(2026.09.12)

コメント