ラ・フォル・ジュルネ2026初日
2026年5月3日、東京国際フォーラムでラ・フォル・ジュルネ2026の初日を聴いた。
私は2005年、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの初年以来、フランスと日本を合わせて有料コンサートだけで540のコンサートを聴いている。ひところは一日に5つや6つ、時には7つのコンサートを聴いていたが、さすがに寄る年波には勝てず、そんなに集中できなくなってきた。しかもここ数年プログラムも地味になってきたので、今年の初日はコンサートは二つだけにとどめた。
・神尾真由子 (ヴァイオリン)、佐藤晴真 (チェロ)、フランソワ=フレデリック・ギィ (ピアノ)のコンサート。
初めに、神尾とギィによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第1番。素晴らしい演奏だった。神尾のヴァイオリンは若々しいエネルギーと勢いにあふれている。思い切りが良く、ぐいぐいと音楽に迫っていく。ギィのピアノもとても深みのある音色がとても美しい。しっかりとした足取りで知的に音楽を進め、ぴたりとヴァイオリンをサポートする。若きベートーヴェンの初々しい精神が迫ってきた。二人の音楽性がぴたりと合っていると思った。
次に佐藤が加わってベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」。これもとても良い演奏だった。三つの楽器、それぞれがとても美しく、音の重なりも見事。名演奏か3人が集まると、こんなに素晴らしい音楽が出来上がるのだ!と納得する。おそらく、ギィが音楽全体を作っていると思うが、きわめて構築的で知的。ただ、ほんの少しリハーサル不足なのか、もっと盛り上がりを見せてもよかったのではないかと思った。とても良い演奏だったが、最終楽章で、あまり高揚しないまま終わってしまったのが、少し残念だった。
・アブデル・ラーマン・エル=バシャ (ピアノ)とエルミール弦楽四重奏団によるドヴォルザークのピアノ五重奏曲イ長調 op.81。
とても良い演奏だった。エル=バシャ のピアノは知的で孤高な感じ。エルミール弦楽四重奏団は音程の良いシャープな音で機能的な音。小気味よいほど音楽がぴたりと決まって進んでいく。ただ、私としては、ちょっと違和感を抱いた。ドヴォルザークのこの曲をこのように演奏すると、よそよそしく都会的になりすぎて、この作曲家特有の人懐っこくて抒情的な要素が薄れてしまう。第1楽章と第2楽章の切なくも美しいメロディも、第3楽章の躍動的なスケルツォも、終楽章の高揚も、シャープになりすぎて、私はしみじみとした感慨を共有することができなかった。好きな曲なのだが、その点、物足りなかった。
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