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新国立劇場「ウェルテル」 最終幕後半はぞくぞくする感動を味わった

 2026年5月28日、新国立劇場でマスネ作曲「ウェルテル」を観た。

 演出はニコラ・ジョエル。このプロダクションをみるのは、これが二度目か三度目だと思う。かなりオーソドックな演出と言ってよいだろう。私はこのオペラに詳しいわけではないので、正確にはわからないが、きっと基本的に台本通りだと思う。存在感があり、リアルでわかりやすい演出なので、とてもありがたいし、感情移入しやすい。

 今回の公演の外国人歌手は、タイトルロールのチャールズ・カストロノーヴォひとり。さすがの歌唱だと思う。絶好調とは言えないのかもしれない(第一幕の前半、ちょっと不安定だった!)が、声の美しさ、声の伸び、この役らしい知的で格調高い歌唱と言い、申し分ない。第三幕に自殺を決意しての有名なアリアはまさに絶唱。シャルロットの脇園彩も世界で大活躍するだけあって、伸びのある美しい声で会場を圧倒した。

 ただ、私はフランス語のオペラを観るといつも思うのだが、どうも二人ともフランス・オペラの雰囲気が伝わってこない。私のわかる限り、かなり正確なフランス語の発音だと思うのだが、ちょっとした母音の響きがイタリア語っぽいのかもしれない。おそらくフランス語らしく歌うと、イタリア語で歌うほどの声の迫力を出しにくいのだろう。

 その点、ソフィーの砂田愛梨は、声もこの役にふさわしく清純で軽やか、そしてフランス的響きを十分に聴かせてくれてすばらしかった。本当にいい歌手だと思った。アルベールの須藤慎吾、大法官の伊藤貴之、シュミットの村上公太、ジョアンの駒田敏章、ブリュールマンの水野優も健闘。世田谷ジュニア合唱団もきれいな声でしっかりと重要な子どもたちの役を歌っていた。

 指揮はアンドリー・ユルケヴィチ。ウクライナの指揮者だとのこと。かなり濃厚な味を出す指揮者だと思った。ワーグナー的に重厚であったり、まるでプッチーニのように甘ったるかったり、時にシュトラウスのように官能的であったり。おかげで最終幕後半では、私はぞくぞくするような感動を覚えたが、同時に、ときどき安っぽいメロドラマを見せられた時のしらじらしさも感じた。もう少し味付けは薄くして、それよりはフランス的な情感がある方が、このオペラにふさわしいと、勝手ながら私は思った。

 とはいえ、昨日の「愛の妙薬」、今日の「ウェルテル」と2日連続して新国立劇場で世界的なレベルのオペラを見ることができて、とても満足。このところの新国立劇場の充実ぶりはとてもうれしい。

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