クァルテット・インテグラと磯村和英の五重奏 素直な表現!
2026年6月14日、サントリーホール ブルーローズで、サントリー・チェンバー・ガーデン2026 クァルテット・インテグラと磯村和英の五重奏を聴いた。曲目はモーツァルトの弦楽五重奏曲第4番ト短調とドヴォルザークの弦楽五重奏曲第3番。
磯村和英はいうまでもなく、かつて東京クヮルテットのヴィオラを担当したレジェンドだが、クァルテット・インテグラの恩師であり、名付け親でもあるとのこと。
とても良い演奏だった。昨日まで聴いたエベーヌ弦楽四重奏団とは音の雰囲気がまったく異なる。こちらはエベーヌのベートーヴェンほどには濃密で緊張感にあふれた音ではない。もっと風通しが良い。若々しくすがすがしい。素直な表現といってよいのかもしれない。これはこれで素晴らしい。
モーツァルトのト短調の弦楽五重奏曲は、しばしば冒頭から悲劇的に演奏されるが、クァルテット・インテグラの演奏はむしろあっさりと始まり、徐々に徐々にかすかな悲しみが広まっていく。軽やかにして、しみじみと美しい。作為を感じさせないのがいい。無理やり表情を作っている様子はなく、自然に音楽が流れていく。しかし、生き生きとした音としっかりした構成感によって聴き手をぐいぐいと引き付ける。終楽章の長調の部分のもの悲しい明るさが素晴らしかった。
ドヴォルザークの弦楽五重奏曲第3番は舞踏性にあふれている。アメリカ民謡風だったり、ボヘミアの舞踊風だったり。クァルテット・インテグラの音はどこまでも若々しく、さわやか。民族性を強調することなく進んでいくが、この曲でも構成感がしっかりしていて、躍動感があるので、舞曲風の音楽の連続なのに、まったく不自然さやくどさを感じない。ドヴォルザークらしい懐かしい温かさが全体を包んでいる。いい弦楽四重奏団だなあとつくづく思う。
エベーヌ弦楽四重奏団の息もつかせぬような緊張感にあふれたベートーヴェンの演奏の中の、一服の清涼剤のようなひと時だった。
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