葵トリオ あまりに率直なラヴェルのピアノ三重奏曲!
2026年6月11日(木)、サントリーホールブルーローズで、サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン、葵トリオ ピアノ三重奏の世界を聴いた。曲目は、前半にベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番と武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」、後半にラヴェルのピアノ三重奏曲。
ベートーヴェンの第6番はあまり演奏機会がなく、実演を聴いたのは数回だけだったと思う。あまり魅力を感じたことがなかったが、葵トリオで聴くともっと盛り上がりを聴かせてくれるかと思ったのだった。
葵トリオらしいくっきりとして生き生きとした音楽。第6番は、作品70だから、「運命」や「田園」の少し後の時代の作曲のはずだが、まるで20代のころの曲のように若々しく聞こえる。とてもよい演奏だと思う。が、やはり少々退屈してしまった。曲そのものが緊張感を欠き、盛り上がりがない。
武満の「ビトゥイーン・タイズ」は、まさに波の合間を描くような音楽。初めの3分くらいは武満特有の音楽をとても魅力的だと思って聴いたのだったが、ずっと同じ調子で続くので、これまた退屈してしまった。もちろん、私の修行不足だと思うのだが。
後半のラヴェルについては、きわめて率直な音楽だった。なるほど、葵トリオが演奏すると、こうなるのだ!と納得した。私のラヴェル観とあまりに違うので、初めのうちは違和感を覚えた。
私はラヴェルをシャイでうぶで傷つきやすい心を韜晦と皮肉で隠した人物だと思っている。知的で冷静、自分の気持ちを率直に表現しない。このピアノ三重奏曲も自分の暗い想いや絶望、希望を様々な技巧を凝らして暗喩的に語ろうとする。そして、そうしながらも時々激しい本音が現れる。そんな曲だと思っている。が、葵トリオの演奏は最初から最後まで、まさに率直に自分の思いをたたきつけたような音楽になっていた。
うーん、確かに、これはこれでいいのかも! と聴いていくうちに思った。私の好みの演奏ではないが、ここまで率直に演奏してくれたら、それはそれで納得せざるを得ない。なるほど、これがラヴェルの本音なのか、と思いながら聴いた。終楽章の感情をたたきつけるようなうねりは凄まじかった。
アンコールは、リリ・ブーランジェの「春の朝に」。とても良い曲だと思った。これも率直に盛り上がって、とても感動的だった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)
- ハチャトゥリアン、ヴァルチュハ&読響 興奮した!(2026.09.15)
- ピノック&紀尾井室内管のドイツ・レクイエム よい演奏だが感動しなかった(2026.09.12)

コメント