ネマニャは今回も凄かった! だが・・・
2026年6月25日、浜離宮朝日ホールでネマニャ・ラドゥロヴィチ ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。2日連続のコンサートの初日。ピアノ伴奏はステファニー・フォンタナローザ。曲目は前半にチャイコフスキーの「ポリーナのロマンス」(歌劇「スペードの女王」より)とフランクのヴァイオリン・ソナタ、後半にJ.S.バッハの「シチリアーノ BWV1031」とシャコンヌ、リリ・ブーランジェの2つの小品 「夜想曲」と「行列」、ラヴェルの「ツィガーヌ」。
ネマニャ・ラドゥロヴィチは、2007年、ナントのラ・フォル・ジュルネで初めて聴いて熱狂して以来のファンだ。来日のたびに聴いてきた。今回は久しぶりのピアノ伴奏によるリサイタルなので、とても楽しみにして出かけた。
あどけない少年だったネマニャもすっかり大人になっている。相変わらずの長髪、ロックっぽい恰好。そして、相変わらずの素晴らしい美音! 澄み切った音、ダイナミックな躍動。思い切りのよい弓さばきで人の心の奥底にスーッと刺さっていく。チャイコフスキーはまさにロマンティック、フランクは情熱的。
・・・ただ、実は私はピアノに不満を感じた。
フランクのソナタはヴァイオリンとピアノが互角にがっぷりと組みあってこそ深い音楽が鳴り響く。ところが、ピアノがどうも遠慮がちで、ここぞというときに盛り上がってこない。一つ一つの音も、私にはネマニャの音に比べると、あまりにくすんで聴こえる。
後半のシャコンヌはとてもよかった。ただ、これまで何度かネマニャのシャコンヌを聴いてきて、ちょっと余裕がありすぎるような気がした。確かに、以前に比べて成熟し、技巧も増し、余裕をもってバッハの世界を描いている。だが、若いころのネマニャの演奏は、がむしゃらにバッハの本質をつかみ取ろうとしていたのだったが、今はそのがむしゃらさがない。私は若いころに演奏のほうが好きだった。
とはいえ、リリ・ブーランジェの曲はとてもチャーミングで、しかも躍動的。そして、休みなしでそのままツィガーヌに突入! これはすごい演奏だった。がむしゃらさがあり、フランス的エスプリがあり、ラヴェル特有の諧謔があり、圧倒的な超絶技巧がある。研ぎ澄まされた音、絶妙のハーモニスク、音程が良いのでクリアでシャープ! 躍動し、飛躍し、駆け巡る。ただただ圧倒された。ただ、ここでも、私はピアノに少し不満を抱いた。もっとヴァイオリンと互角に弾いてくれないと、音楽全体がくすんでしまう・・・。
アンコールはバルトークのルーマニア民族舞曲第6曲と「Over the Rainbow」、最後にお決まりのモンティの「チャルダッシュ」。
ネマニャは今回も凄かった! が、ちょっと不満も抱いたのだった。
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