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名古屋での吉田&碇の「永遠の愛」 いっそう完成度が増していた!

 2026年7月30日、名古屋の電気文化会館ザ・コンサートホールで、Ode to Joy「永遠の愛について」を聴いた。

 Ode to Joyとは、吉田志門と碇大知のデュオを意味する。曲目は、前半にブラームスの歌曲、後半に木下牧子の歌曲。今年の3月1日に霞町音楽堂で演奏されたのとほぼ同じ曲だ。吉田さんの歌唱にほれ込み、顔見知りになって、私から強く「マゲローネのロマンス」を歌ってほしいとリクエストしたのが発端になって実現したのが霞町音楽堂のコンサートだった。それが名古屋という、吉田さんと碇さんの地元で再現されるとあっては、私としてはぜひ聴きたいと思って名古屋まで出かけたのだった。

 定員80名だった霞町音楽堂に比べて、ザ・コンサートホールは395名なので、5倍近い広さだ。広い空間で二人の音楽がどのように響くのか、お客さんがどのようにとらえるかが気になっていた。

 見たところ、客席はほぼ7割以上埋まって、地域の和気藹々とした雰囲気が見える。多くの方が、きっとこの二人の演奏をこれまで繰り返し聴いてこられたのだろう。そして、二人の成長を見守ってこられたのだろう。吉田さんのお子さん(確か、まだ2歳になっていないはず)がロビーで動き回って、その愛くるしさに多くの客や関係者がほほ笑んでいる。そうした中、演奏が始まった。

 素晴らしい演奏だった! 前回も素晴らしかったが、もっと完成度が高まっていた!

 会場が広い分、霞町ほどの強烈な声の迫力に囲まれる感じではなく、もっと落ち着いた雰囲気だった。だが、そうはいっても、最初からブラームスの「わが愛初々しく」は激しい愛を歌って、一挙にホール全体をブラームスの世界に没入させた。渋いブラームスではなく、若々しく情熱的なブラームス! 続く「永遠の愛」はもう少し落ち着いた愛の世界。

 吉田のトークも、まさにホームグランドに帰った感じ。歌曲のコンサートにふさわしいアットホームな雰囲気にあふれている。

 そうして、前半のメインである「美しきマゲローネのロマンス」からの8曲が始まった。吉田自身による朗読に歌曲が続く。張りのある若々しい声、しかし陰影に富み、山あり谷ありの物語が展開する。見事な声のコントロール、そして、碇のピアノが素晴らしい。絶妙に声を支え、激しく高揚する。霞町では、必死にブラームスに追いつこうとしている風があったが、今回は音楽を自分のものにしているのがよくわかる。

「マゲローネのロマンス」は私の大好きな曲だ。大好きな曲なのに、めったに演奏されないので残念に思っていたのだったが、こんなに素晴らしい演奏を、しかも日本人二人の演奏で間近で聴けて感無量!

 私は大好きなのだが、おそらく観客のほとんどの方が、初めてこの曲を聴くのだと思うと、どう感じるのか少々気になっていたが、皆さんが真剣に聴き、感動なさっている様子が伝わってきた。

 後半の木下牧子の「ほんとにきれい」「 足おと」「竹とんぼ」「ロマンチストの豚」「さびしいカシの木」「海と涙と私と」「犬が自分のしっぽをみてうたう歌」「いっしょに」、そして最後に歌曲集「いちばんすきなひとに」。

 後半は前半以上に完成度が増していた。広いホールでも日本語がきわめて明瞭に聞き取れる。本当にこれほど日本語が美しく響く歌手を私はほかに知らない。しかも、言葉の意味をかみしめ、それにふさわしい音楽が響き、絶妙のタイミングで透明で情感のこもったピアノが歌を支える。ニュアンスが深まり、詩情が香る。歌とともに愉快になったり、悲しくなったり、絶望したり、しんみりしたり、深い人生を感じたり。

 霞町でも、作曲者の木下さんが二人の演奏を聴いて、その成長ぶりを私に語ってくれたが、今回、木下さんがおられたら、もっと絶賛しただろうと思った。「いちばんすきなひとに」は、「マゲローネのロマンス」と同じように、まるで小さなオペラのような雰囲気を持ってしっとりと迫ってくる。

 アンコールはブラームスの「子守歌」と木下牧子の「おんがく」。いずれも、これ以上ないほどにしみじみと美しい。

 終演後、サイン会。多くの人が和気藹々と話を交わして、なかなか会場から人が去らない! 吉田さんのお子さん、奥様、お母様もお客さんと楽しみあっている。発表会などではよくある光景かもしれないが、世界最高レベルの演奏でこのような光景が見られるのは本当にうれしいことだ。

 終演後、私も関係者に混じって、演奏者たちと会食した。おいしいイタリアンを食べながら至福の時間を過ごした。

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