マルッキ&都響の「青ひげ公の城」に感動!
2026年7月17日、サントリホールで、東京都交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮はスザンナ・マルッキ、曲目は前半に、デュカスの歌劇「アリアーヌと青ひげ」第3幕への前奏曲とドビュッシ「夜想曲」より「雲」「祭」、後半に、バルトークの歌劇「青ひげ公の城」(演奏会形式)。
素晴らしい演奏だった。素晴らしい指揮者だと思った。
都響が見事な音を出した。前半は、緻密で繊細で気品にあふれている。弦のトレモロがまるで雪の結晶がキラキラと光っているようだった。こんなきれいなトレモロを久しぶりに聴いたと思った。フランス的な響きと言ってよいだろう。だが、かなりドイツ的な構築性のようなものを感じる。力感もある。そして、マルッキの指揮姿が実に美しい。こんなに美しい指揮姿は、カルロス・クライバーを初めとして、数人しか覚えがない。優美な姿から、力強くも繊細な音楽が奏でられる!
後半は圧巻だった。ソロの二人にまず驚嘆した。ジョン・レリエ(バス)とシルヴィア・ヴェレシュ(メゾ・ソプラノ)はともに声量も豊か(ただ、レリエの声になんとなくPAが入っているような感じだったが、気のせいだろうか)で歌いまわしも絶妙。舞台がないのに、目の前に情景が見えるようだった。とりわけヴェレシュの無理のない自然な声に圧倒された。
そして、何よりもマルッキ指揮の都響が精妙で、時に爆発的で、まさに青ひげ公の城の幻想的で官能的で不気味な雰囲気を作り出し、ドラマを盛り上げた。緊張感にあふれ、まったく退屈しない。演奏会形式で、演技もつかないし、映像などもないのだが、特有の色彩がオーロラのように動いているような感じがした。
それにしても、スザンナ・マルッキという指揮者、初めて聴いたが、素晴らしい指揮者だと思った。リズムがぴたりと決まって、揺るぎがない。そうした中で、構築的に音を作り、てきぱきと推進していく。しかも、細かいところまで神経が行き届いているので繊細で豊かな音が出てくる。都響の美しい弦楽器と管楽器を引き出している。
もっと大熱狂の喝さいが起こるかと思ったのだが、意外とおとなしかったのは、曲の終わり方が地味なせいだろうか。私はなんだかマルッキ・ファンになりそう・・・。
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コメント
じつは私もレリエの声にPAを感じました。気になって、他の方の感想をあれこれ見たのですが、誰もそのことに触れていない中で、樋口様が触れているので、私だけではなかったとホッとしました。今、私のブログをアップしたのですが、樋口様のご感想を引用させていただきました。ご迷惑であれば削除または修正をいたします。
投稿: Eno | 2026年7月19日 (日) 13時05分
Eno 様
コメント、ありがとうございます。
前口上は明らかにPAが入っていたと思いますが、語っているのはどうもレリエのようでした。で、青ひげの歌になっても、しばらく同じような残響だったので、PAがどのようなシステムかはわかりませんが、誰かがスイッチでも切り忘れたのかな?と思っていたのでした。
しばらくして、不自然な残響は感じなくなりましたので、きっと正常に戻ったと思っていましたが、しばらくたってから、また、一度ならず、おや? と思う場面がありました。第7の扉だったかどうか覚えていませんが。それで、もしかしたら、ずっとPAが入っていたのかな?と思ったのでした。
私も気になって、ほかの方がどのように感じたかネットで調べてみたのですが、そのような記載がないので、もしかして私の気のせいかな…と思っているところでした。
ブログをしばしば読ませていただいています。私があいかわらず素人丸出しの感想を書いているのに対して、Eno 様はますます深く音楽を聴いておられること、たいへん興味深く、そして楽しく感じております。
投稿: 樋口裕一 | 2026年7月20日 (月) 08時18分