女流義太夫のこと クルドのこと
2026年7月7日、蕨市立文化ホールくるるで女流義太夫を聴いた。初めに、鶴澤津賀佳によるレクチャーがあり、「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」の「明石船別れの段」(浄瑠璃:竹本京之助、三味線:鶴澤弥々、琴:鶴澤朔弥)、(こいにょうぼうそめわけたづな)」の「道中双六の段」(浄瑠璃:竹本綾一、竹本越里、三味線:鶴澤津賀寿、鶴澤津賀榮、鶴澤三響)。
私は義太夫初心者につき、専門的なことはまったくわからない。初めのレクチャーで三味線の役割について説明を受け、なるほどと納得。ふだんは義太夫の語りのほうに耳が行く私も、三味線を意識することができた。
「生写朝顔話」は、文楽でも鑑賞したことがあり、DVDでもみたことがあるのでストーリーはしっかりと頭に入った。要するに、宇治川で恋に陥った後、別れ別れになっていた男女が明石の浦で再会しながらも、またも離れ離れになる。三味線が船の動き、河の動き、登場人物の心の動きを音によって描いているらしいことに気づいた。鶴澤弥々の三味線は時に鋭く、時に叙情的。西洋音楽に比べるとあまりに少ない音なのだが、これによってこれだけの情景や感情を作り出しているのだと再認識できた。
「恋女房染分手綱」は、輿入れのために東国に行くのを嫌がっている幼い姫君が双六で気を紛らせて江戸に向かう話。語りも三味線も複数人で、物語の登場人物も大勢いる。周囲の人々の混乱がこの話の面白いところだと思うが、残念ながら竹本綾一の語りでは、人物の語りわけがはっきりしなくて、あまり状況が頭に浮かばなかった。その分、こちらも鶴澤津賀寿、鶴澤津賀榮、鶴澤三響がみごとで、馬方が急ぎ足になり、宿場が次々と過ぎていく部分の描写などとてもおもしろかった。前半のアダージョからアンダンテになり、最後にはアレグロ・ヴィヴァーチェになっていくとでもいうか。鶴澤津賀寿は人間国宝だとのこと。三人とも、三味線がくっきりとした音を出しているのを感じた。
ただ、まだまだ修行不足。語りも聞き取れないし、三味線を味わう段階には達していない。もっと聴いていくうちに、理解が深まっていくだろう。
終了後、せっかくクルド問題で名高い蕨市に来たので、トルコ・クルド料理の店で早い夕食をとった。なかなかおいしかった。私はクルド人のよき理解者というわけではないが、バフマン・ゴバディ監督のあまりに詩的な映画をみた人間としては、クルド人の文化に敬意を抱かずにはいられない。そして、川口、蕨が平和な共存を実現できることを願っている。
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コメント
私も昨年だったか、一昨年だったか、あまりにもクルド人排斥がひどいので、川口市に行ってみたことがあります。市の観光案内所のようなところで「クルド人はどの辺に住んでいるのでしょうか」と尋ねたところ、職員は顔を曇らせて、「とくにどこという所はなくて、少しずつ分散して住んでいます。皆さん大人しいのですが」と答えてくれました。しばらく当てずっぽうに歩いたのちに、トルコ料理店で昼食をとりました。とても美味しかったです!
投稿: Eno | 2026年7月 8日 (水) 08時53分
Eno 様
コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。排斥運動はとても残念です。排斥運動は両者の側に敵意を作り出すだけだと思います。何はともあれ、他民族への尊敬の念を持ちたいと思っています。おいしい料理があり、すぐれた芸術があり、善良な人々がいる。それだけで、その人たちへの敬意を持つには十分だと思います。
投稿: 樋口裕一 | 2026年7月 9日 (木) 11時02分