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リリアで加耒、田代、村松の歌を存分に楽しんだ!

 2026年7月25日、川口リリアホールで「リリア音楽ホールで聴く日本の歌~人気実力を兼ね備えた3人の歌手による~」を聴いた。出演は、田代万里生 (テノール)、加耒徹 (バリトン)、村松稔之 (カウンターテナー)、ピアノ伴奏は松岡あさひ。まず会場に到着してびっくり。超満員だが、たぶん、90パーセント以上が女性。男性はほんの少ししかいない! 女性トイレは大行列、男性トイレはガラガラ! なるほど、イケメンたちのコンサートなんだと、ここに来て初めて気づいた。

 私の目当てはもちろん加耒徹。バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏もさることながら、先日の「水車屋の美しい娘」も素晴らしかった。日本歌曲もぜひ聴きたいと思った。

 ただ、プログラムを見て、ちょっとがっかり。私としては、武満徹や山田耕筰や木下牧子をたっぷり聴けるのかと思っていたら、第一部は芸術歌曲ではあるものの、第2部は「東京音頭」や井上陽水の「少年時代」などの歌が並んでいる! うーん、場違いなところに来てしまったか、と一瞬思った。

 だが、聴き進めるうちに、とても楽しくなってきた。加耒の歌は本当に素晴らしい。「九十九里浜」は大海原の雰囲気を見事に歌う。ピアノ伴奏も引き受けていた松岡あさひ作曲、谷川俊太郎作詞の「すいぞくかん」もコミカルでありながらも深遠でおもしろい。「荒城の月」はまさに絶唱。これは実はとても難しい歌だと思う。正確な音程で、日本的情緒をしっかりと織り込んでしみじみと歌う。日本語もきちんと聴きとれ、声のコントロールが完璧!

 いや、加耒だけではない。村松稔之も、音程の取りにくいカウンターテナーでありながら、この人も音程がきわめて正確で声の伸び、歌のコントロールが素晴らしい。武満の「小さな空」は武満特有のヒューマニズムが伝わってくる。私はこの人の武満徹のCDを聴いてとても良い演奏だと思ったことがあるが、実演を聴けてとてもうれしかった。

 田代の歌については、実はそのあまりのミュージカル風の歌い方に抵抗を感じたのだったが、これまた音程が良く、加耒と違ってもっと前に出てくる歌い方は堂々たるもの! とても楽しめた。

 まさに三人三様。それぞれの分野の第一人者といってよいだろう。三人のトークも楽しいし、歌もそれぞれの持ち味があって楽しい。知的で真面目な加耒、コミュニケーション力があって気遣いのできる田代、ちょっと独特の村松、それぞれのキャラクターもおもしろい。

 第2部は、テレビドラマなどで流行した歌、最後は「さとうきびばたけ」、アンコールは「川の流れのように」。私の好みの曲ではないはずなのに、楽しい歌、悲しい歌、寂しい歌を通して、音楽の素晴らしさが伝わってくる。これが歌の力だ、とつくづく思う。

 加耒がトークの中で語っていた。オランダでは、日本と違って緊張して音楽を演奏したり聴いたりするのではなく、楽しむ。まさにその楽しみを味わうことができた。

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