下野&N響 ハイドンとシュトラウスとメンデルスゾーンを堪能!
2026年8月3日、ミューザ川崎で、フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2026、NHK交響楽団「角笛に誘われる夏の宵」を聴いた。指揮は下野竜也、曲目は、前半にハイドンの交響曲第73番「狩り」と、ホルンのアレッシオ・アレグリーニが加わって、リヒャルト・ シュトラウスのホルン協奏曲第2番、後半にメンデルスゾーンの劇付随音楽「夏の夜の夢」から、序曲 ― スケルツォ ― 間奏曲 ― 夜想曲 ― 結婚行進曲。
とてもよい演奏だった。
まずは、下野のハイドンの音楽の運びに感心した。なんという手際の良さ、そして音楽の心にあふれている! 私は一時期(たぶん、30年近く前)、ハイドンの交響曲のCDを好んで聴いていたが、いつの間にか飽きて、この頃、ほとんど聴かなくなっていた。が、こうして聴くと、しみじみと良い音楽だ。理路整然と音楽が進み、遊び心もあり、深みもあり、音楽の運びそのものにほれぼれする。それを下野は誇張せず、しっかりと聴かせてくれる。名人技だと思った。とりわけ、この交響曲が「狩り」と呼ばれるようになった第4楽章のホルンの快活な響きはとても楽しかった。
シュトラウスのホルン協奏曲も、とても良かった。第2番は、シュトラウスの晩年の曲で、オペラ「カプリッツォ」などと同じような雰囲気がある。若いころの作品である第1番のような華やかで活気にあふれた音楽ではなく、滋味にあふれ、精緻である種の諦観に満ちているが、最後にはエネルギッシュな生きる力が広まっていく。そのような音楽の美しさをアレグリーニが聴かせてくれた。ちょっと古めかしい渋い音ながら、動きが活発で音色が美しい。
ソリスト・アンコールとして、ほかに3人のホルン奏者が加わってのロッシーニの「狩りのファンファーレ」と、アレグリーニのソロで「鳥の歌」。ロッシーニのほうは、ユーモラスで躍動的。「鳥の歌」は、カザルスのチェロ以上に、まるで鳥が飛んでいる空に向かって一人静かに歌うような演奏だった。かつて、カザルスの国連での演奏をリアルタイムのテレビ実況放送で聴いて私は涙を流したが、その時と同じくらいに感動した。
後半のメンデルスゾーンもとてもよかった。実をいうと、序曲の前半はなぜかちょっと不発な気がしたのだが、後半になって精妙な弦の音(コンサートマスターは郷古廉)が美しく重なって素晴らしいと思った。木管も本当に美しい。トランペットも勢いがあってとても楽しかった。
アンコールはヨハン・シュトラウス2世の「狩り」。このような楽しい小曲も下野は実にうまい。楽しくて、わくわくして、躍動に身を任せたくなる。N響の名人技が集約されて素晴らしい演奏になった。
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